——吉村さんはレイジさんのことを知っていたんですか?
吉村「知っていました。オカモトレイジという男のことは大体みんな知ってるんですよ。異質で、ふざけた兄貴みたいな感じで誰もが知ってる」
レイジ「ははは(笑)」
——OKAMOTO’Sを聴いたことは?
吉村「ミーハーですが、ドラマの『火花』で“BROTHER”を聴いていい歌だなと思って。『あっ、これがOKAMOTO’Sか!』と繋がりました。当たり前ですけど、やっぱりドラムが本業だよなと。僕の勝手な印象ですけど、ああいうバンドの中の一人で、ドラムのあのスペースの中では身が余っちゃうと思うんですよ。だからいろんな活動をやってる。でもドラムはちゃんと静かにやってますよね」
レイジ「色々あるよ。この曲は静かにやろうと意識したりもするし。でもデビュー当時はすごかった。19歳の頃などの映像を観ると信じられないテンションでドラムを叩いてるし、よく身体を痛めなかったなと思う。若い時はとにかくヤバければ何でもいいと思っていた節があって。OKAMOTO’Sのライヴを観るのが人生において最初で最後の人がいるかもしれないわけで、とにかくインパクトを与えたいと思って。“ヤバい”を100パーセントで追求してたから、本当にめちゃくちゃ。でもそれだと音楽として成り立たない部分も出てきて、3年くらいはヤバいを追求したから、あと3年くらいはきちんとドラム叩くことに集中しようと思い直して、いま7、8年目かな」
吉村「ああ、そうなんですね。実は、僕も暴れ散らす時期が終わりかけてるような気がしているんです。仕事を始めて3年ちょっとなんですが、以前はそれこそインスタでムカついたことも全部包み隠さず言うすごく痛い存在だったんですけど、最近そういうことに飽きたかもしれない。本質をちゃんとしよう。文句を言わずに一生懸命に仕事をしようと思いました。でも一方で、果たして俺はこの生活を求めていたのかなとも思ったり、心の中が混沌としていて。俺、レイジくんに聞きたいことがあるんです。ドラマーという一個の枠だけでは耐えきれないという気持ちがありませんか? 俺はそこがレイジくんと同じだと思ってるんですけど、あれってなんなんですかね?」
レイジ「本気で俳優をやりたいからそうなるんだと思う。俺も本気でバンドをやりたいから、他のことはそのためのインプットでありアウトプットであるというか。色々なことをやりたいけど、だからと言ってバンドをやめて他の仕事につこうという考えは一切ない」
吉村「あ、それは俺も思わないですね」
レイジ「多分そこだと思う。俺はドラムだけで生きていきたいわけではなくて、俺がバックDJで前に3人がいてもいいと思うし、俺がギターでショウがドラムをやってもいいけど、バンドというフォーマットをやめることはない。DJをやってみたり、友だちのショートムービーで音楽を作ってみたり色々経験して、そのぶんバンドにフィードバックさせている。つまり、一番楽しいことや好きなことがきちんとあるということだと思うんだよね」
吉村「そうか。あとね、多分バカ真面目なんですよね。だから混乱するというか」
レイジ「それはあるかもしれないね」
——レイジさんも人一倍真面目ですよね。
吉村「それ、俺も感じます。色々な動画を観てて、ふざけ倒してて面白かったけど、実はこの人クソ真面目なんだろうなと思いました」
レイジ「界人くんも相当だけど。昨日も『対談よろしくお願いします』という電話をくれて、でもあまり喋ってしまうとこのフレッシュな感じが記事に落とし込めないからとすぐ切って。真面目だよね。だから、今日は本当の初対談。普段から話している友達と改めて誌面で話すというものではなくて。そういう風に真剣だからこそ一瞬一瞬を残せてるんだと思います。例えば、この一瞬しか出番がないんだったら適当にやっておけばいいやといって、前日朝まで飲んで本番をやっていたら忘れられてしまうんだろうけど、しっかりとその一瞬に向けて真面目に向き合ってやってそうな感じがする」
吉村「それは真剣にやってます。だって必死さより強いものないじゃないですか」
レイジ「いいパンチライン出たね。ただ、その真面目さに悩んだりもするんです。俺は真面目だからダメなのかなって思う瞬間があるというか。知識もなければ努力もしないで超不真面目なのに、自分より売れている人たちもいるし」
吉村「ああ、わかる」
レイジ「でもやっぱり真面目は大事。あと統括して言えるのは健康第一。病んでしまったらつらいしね」
吉村「そうっすね」