——(笑)。GALLERY 360°での「CUT-OUT」も光と時空が交差する展示で、とてもエネルギーがありました。
永瀬「クラフト的な手法をとりましたが、表現したいことは一環していて、時代も場所も関係ないということです。YOSHIROTTENさんにもアートディレクションで協力してもらったんですが、シルバーの紙を使いたいという私の希望やなぜその素材を使いたいかという理由をしっかり理解してくれていたので、とてもスムースでした。あの女性も古代のようでも未来のようでもあり、人間でもあり、ないようでもある。メイクや衣装でもその意図は出ていますし、直接的ではなくても、透け感や軽さでも表現しています」
——あの展示でも光が印象的で、永瀬さんは常に光を追っているんだなと思いました。
永瀬「そう。女の子が写っていても、女の子を撮っているわけじゃないんです。光を撮っているのであって、形は撮っていない。だからジャンル分けができなくて(笑)。海外で作品を紹介していただくときに、ネイチャー、ウーマンなどというジャンル分けだと伝わりにくいので、『例えば光の反射、風の表情、のようなものをモチーフにしたい』ということも伝えたりしています」
——光を追うということが宇宙に通じるのかもしれません。それも極めてナチュラルな感覚ですよね。
永瀬「地球に住んでいたら、わざわざ地球にいますとは言いませんよね。それと同じかもしれません。昔はそんな風にもっと宇宙というものが近い存在だったんじゃないかとも思うんです。絵巻物で描かれている『虚舟』はいまの未確認飛行物体のようですし、『竹取物語』や曼荼羅も古くから宇宙を描いている。特に曼荼羅は全ては既にパーフェクトであるというもので、最近の私のテーマと重なっています。地球はパーフェクトだと思ってないからビルドしていくけれど、そうじゃないんじゃないか。宇宙は全てがありのままで存在していて、それで完璧な状態である。だから、自分もそのような状態にしておこうと」