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text by Ryoko Kuwahara

宇宙特集:画家・淺井裕介インタビュー

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yamatane
2014
h.473.0 x w.1219.0 x d.1341.0 cm
ヒューストン、テキサス州、USAの土10種 (噴水、ハイウェイ118、パークランド・バイユー(沼地)、リッカー・ストア・ロード、ホワイトオーク・バイユー、シュガーランド、カルロスさんの裏庭、コンロー・セブン・コーブス、ウィロー・シティー・ループ、バッファロー・バイユー)
10 kinds of soil collected from Houston, Texas, USA (Mecom Fountain, Highway 118, Bayou Parkland, Liquor Store Road, White Oak Bayou, Sugarland, Carlos Backyard, Conroe Seven Coves, Willow City Loop, Buffalo Bayou)
©Yusuke Asai, Courtesy of URANO and Rice University Art Gallery
Photo by Nash Baker


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泥絵制作風景(東京都現代美術館)2014 photo by Maki Taguch
©Yusuke Asai, Courtesy of URANO


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泥絵制作風景(東京都現代美術館)2014 photo by Maki Taguch
©Yusuke Asai, Courtesy of URANO


淺井裕介は泥で絵を描く。恒久的な価値を求めるアートシーンにおいて、当然のように泥絵を洗い流して消してしまう。植物や動物らを描いた繊細な表現が連なり、やがて力強く巨大な一個体となり、時の経過とともに消え行くその有り様はまるで生命そのもののよう。海外では“Earth Paint”と訳される泥絵を軸に、事象の奥を見つめる彼の視点を問うた。


——淺井さんはその土地土地の泥を使った作品を作られていますが、まず大本である地球や宇宙にいるということについて考えることはありますか。


淺井「そうですね、今この場所に生まれてきたということはすごく考えています。東京生まれで森や星があまり見えない所で育ったこともあって、宮沢賢治などの物語の中にある宇宙的な光景を理解できないもどかしさがずっとあったんです。知ることができない環境にいたからこそ渇望していて。でも小さい苔の中に森を見たり、セロハンテープで細胞をとって顕微鏡で覗いた中に山脈を見たり、そうやって視点を変えると、知ることができないというのは思い込みで、遠くに見える宇宙も、ここにある小さな宇宙も同じようなものだと気付いたんです。
この小さなものに宇宙を見るという考えは作品にも強く影響しています。僕は子供の頃から常に絵を描く習慣があって、描く場所がないときはよく手に描いていたんですね。そこから皮膚や表面というものに興味がいって、その延長線上の考え方として、地球の表面をキャンバスとしたいと意識するようになりました。それが二十歳くらいかな」


——地球の表面ということから、すぐに泥絵に行き着いたんですか?


淺井「実際に描くまでは8年くらい間があるんです。まだ土をどう扱うかわかっていないところもあったし、僕は他のシリーズの作品においてもタイミングを待つところがあるんですね。でもインドネシアに連れて行ってもらったときに、見たことないようなバナナの葉や菩提樹の枝、そして根が地面にしっかりと根付いていて栄養を吸い上げていくまるでラピュタの最後に出てくる木みたいな植物がボコボコある土地で、それらの植物たちを支えてるのが土で、都会では隠れて見えない、ダイレクトなエネルギーを生み出す土があった。いま、ここで土を掘ろうと思って始めました」


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土の採取風景 photo by Hiroyuki Hattori
©Yusuke Asai, Courtesy of URANO


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土の採取風景 photo by Hiroyuki Hattori
©Yusuke Asai, Courtesy of URANO


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掘った土を乾燥させて制作地の子供たちと砕いて粉状にしてふるいにかけていく様子 photo by Kenta Yoshizawa
©Yusuke Asai, Courtesy of URANO

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