ホメオパシーを体系だてたのは18世紀生まれのドイツ人医師ザミュエル・ハーネマンで、当時のマラリアの特効薬であったキナの樹皮について調べているうちに、その苦味がマラリヤに効くという事実に対し、他の苦味のある樹皮ではなくて、なぜキナのものだけが効くのかと疑問に思った。そして、試しに自分や家族にキナの樹皮を摂取させてみたところ、マラリヤに罹っていないにも関わらず、動悸、交互に現れる熱感と悪寒、疲労感、眠気というマラリヤの症状が出たのだった。ハーネマンは同種の症状を引き起こすものが、その種の症状を改善するということに気づき、これがヒントとなり、「同種の法則」を確立することになった。つまり「毒を持って毒を制す」「健康な人に投与して、ある症状を起こさせる物質は、その症状を治すことができる」という法則を。
この同種の法則は、実はギリシアのヒポクラテスがやっていたことでもあり、発熱した患者を温めて治すといったことを実践していた。
ハーネマンは以後、臨床実験を重ね続け、生涯に100種前後のホメオパシー薬を発見した。その後彼を引き継いだ人々によって、現在は3000種類以上のホメオパシー薬が発見されている。
ホメオパシーへの現代における評価は、イギリスに王立ロンドン・ホメオパシー病院があることが何よりもの説明になるだろう。ちなみにイギリスの王室は1803年からホメオパシーを取り入れている。フランスでは町の薬局で買え、70パーセント以上の医師がホメオパシー薬を処方しているし、国民の3分の1が使っている。ドイツ然り、ベルギー然りな状況である。インドもイギリスの植民地であったことから盛んで、自分もインドへの旅行中に普通の薬局で風邪用のホメオパシー薬を買った経験がある。パキスタン、バングラディッシュ、スリランカでも国が認めている。南米での浸透が始まっていて、ブラジルでは薬学部を卒業するのにホメオパシーの単位をとることが必須とされている。オセアニア諸国でも政府が普及に力を注いでいる。
ざっと要点と歴史と現在の評価を記したが、カルトでないことだけは、伝わったのではないかと思う。
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