—今作がiPhoneで撮影されたことを強調しているレビューが多かったのですが、正直言って、見始めて数分でそんなことは忘れてしまいました。
ショーン「良かった!」
—なぜiPhoneで撮影したのですか?
ショーン「予算的な理由だったのだけど、すぐにiPhoneを使うことの利点が見えてきた。初めて演技する役者やアマチュアにとっては、威圧感が減るからね。誰でもスマホは持っているし、ストリートの無一文の女性たちだって持っているよ。だから顔にスマホを向けたところで、誰も気にしないんだ。でも、もし35ミリの巨大なカメラを向けたら、慣れるのに時間がかかるだろうからね。
それに、モバイルだからカメラを速く動かすことができた。過去の作品と比較すると、今作の方が動きが多いと思う。狭い場所に入れたのも良かった。ドーナツ・タイムは見た目よりも狭いからね」
—タイトルを『タンジェリン』にした理由は?
ショーン「ずっとタイトルが決まらなかったんだ。あまりわかりやすいものにはしたくなくて、文字通りではないタイトルを求めていた。何かイメージが頭に浮かぶようなものをね。それであのタイトルを思いついて、そのまま定着したんだ。みんながそれぞれ違った解釈をしていて、好きなようにとらえられるのも気に入った。それにあのフルーツの色彩もぴったりだと思えた。実際にポスプロで彩度を上げたら、あの色がドミナントカラーになったんだよ」
—この映画はLGBTについての映画ではなく、人間についての映画だと思いました。
ショーン「面白いのが、チェスター役のジェームズ・ランソンに言わせると、これは『LAについての映画』なんだ。別の人は『これはクリスマス映画だ』と言っていた。さらに別の人は『これはバディ(=相棒)ムービーだ』とね。だから、いろんな売り出し方ができると思う。でも僕としては、“現代のロサンゼルスを舞台にした娯楽作品”だと思っている(笑)。僕らはそう考えているんだ」
—今作の制作を通して得た最も大きなものは何だと思いますか?
ショーン「僕は自分の作品にはとても厳しいんだけど、今作ではすべての演技にとても満足している。キャスト全員に満足できたのは初めてだ。次に何をしたいのかわからなくて、正直言うと高予算のパペット映画を作ろうと思っていた。でもこの映画が僕の進路をはっきりさせてくれたよ。フロリダで撮影する次回作も同じ感性で描くんだ。子どもを主軸にした映画だけど、同じことをやろうとしている。もう少しこの得意分野に留まってみるよ。パペット映画を作る代わりにね(笑)」
interview & text Nao Machida
edit Ryoko Kuwahara
『タンジェリン』
1月28日(土)、渋谷シアター・イメージフォーラム他全国順次公開
©2015 TANGERINE FILMS, LLC ALL RIGHTS RESERVED
監督・編集・共同脚本・共同撮影:ショーン・ベイカー
共同脚本:クリス・バーゴッチ 共同撮影:ラディウム・チャン 製作総指揮:マーク・デュプラス、ジェイ・デュプラス
出演:キタナ・キキ・ロドリゲス、マイヤ・テイラー、カレン・カラグリアン、ミッキー・オヘイガン、アラ・トゥマニアン、ジェームズ・ランソン
配給・宣伝:ミッドシップ 2015年/アメリカ/英語・アルメニア語/88分/カラー/シネスコ/原題:Tangerine
http://www.tangerinefilm.jp
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