――どのようにオマールと波長を合わせたのですか?
ジェームス「大変だったよ! 気持ちを通わすためには、お互いのことを知って、意思疎通を図らなければならなかった。『自分を何様だと思ってるんだ? 僕は君とは違う! さぁ、どうする?』と、怒鳴り合いにもなったよ。胸の中の思いを吐き出したら、ふたりで仕事に戻った。最終的にはふたりとも子どものように楽しむことができた。オマールと僕は、プロとして、距離感を保つこともできただろう。だけど、その関係が本物なのかどうかは、カメラを通して伝わると思うんだ。映画の中で、観客が僕らの一体感を感じたなら、僕らの勝ちだね」
――オマールから何を学びましたか?
ジェームス「不安な時、オマールは心強い支えだった。彼はエネルギッシュで、知的で、本能的で、信じられないほど、おおらかなんだ。僕は頭で考え込んでしまう質だから、彼が頼りになったよ。運搬上の問題や技術的な制約があって、撮影はすごく大変だった。僕は、より自由がきく舞台に慣れてるからね。オマールは、いろいろな制約がある中でも、まったく動じずに平然と動き回っていた。僕は彼からその秘密の技を学んだよ」
――今回の撮影で忘れられないことは何ですか?
ジェームス「長い道のりだったよ。僕が最初に抱えてた不安は消え去った。サーカスのシーンをただ美しいだけのシーンにしてほしくなかった。フティットとショコラの関係性の変化を感じ取ってほしかったんだ。オマールも同じ思いだと知ったよ。3カ月間の撮影で疲労がたまったけど、オマールと共に過ごす日々だったらもう少し長引いてもよかったな。とても感動的な物語になった。すごい冒険だったよ。僕らは力を合わせてやり遂げた」
――フティットとショコラの関係について、観客に何を感じてほしいですか?
ジェームス「ふたりの避けられなかった転落の部分まで描いたけど、そこにはある種の救いがある。なぜなら、ふたりが深い愛情で繋がっていたのは明らかだし、たとえ困難な状況になっても、ふたりの心臓は共に脈を打ち続けたからさ。彼らをつなげているものの力は、彼らを引き裂くものよりも強かったのさ」