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#BFF『Chocolat』 James Thiérrée & Omar Sy Interview

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――フティットの魅力とは?


ジェームス「フティットは風変わりな男だ。辛らつで、内向的で、さまざまな脆い感情を抱えている。ステージ上ではショコラと心を通わせているように見えるが、控室に戻ると、まったく様子が違う。パートナーとの絆を感じた時、『君のことが大好きだよ。君は僕の親友だ』と言いたいのに、彼にはそれが言えない。それと、彼は常に貧困に対して不安を抱えている。当時は、主役の座を得るか、どん底か、そのどちらかだ。真ん中はない。フティットは仕事でその不安を紛らわせていた。彼は何かを達成すること、高い水準にいることに執着していた。そこが、この役の美しさだ。だけど、彼らを擁護する気はない。ショコラの気持ちに対するフティットの理解の欠如は弁解できない。だけど、それが人間だ。物事がいつも感傷的とは限らない。フティットはショコラに出会った時、すぐにこう言った。『黒人を探してるんじゃない。道化師を探してるんだ』と。それが彼のアーティストとしての考え方だ。他の人の目にはただの黒人男にすぎなかったが、フティットはショコラの持つ喜劇の才能を感じ取った。やがて観客はふたりを称賛し、求めるようになるんだ。コンビを解消する時、フティットは不当だと感じた。演じるにあたって、この別れを悔やむ気持ちが僕には大事だった」


――あなたとフティットの共通点は何ですか?


ジェームス「僕は劇場の中で育った。僕にとっての劇場のように、フティットにとってのサーカスは、お寺であり、教会であり、競技場だった。そこには、ひとりの人間と観衆との間に生まれる崇高な何かがある。それに信念がある。フティットはもっと上に行けると信じていた。僕もまた、この仕事の世界を生き抜いてる。仕事のこと以外にも、学ばなくてはいけないことはたくさんあるよ。お寺の中に留まっていたいと思うけど、世界と向き合って、友達を作って、答えを探すことも必要なんだ」


――ステージ上でのフティットの役作りには何をしましたか? 普段のフティットはどんな人ですか?


ジェームス「ステージ上と普段の生活時とで信じられないほど違うんだ。ジキルとハイドみたいだよ。サーカスの外では人付き合いが悪くて、いつもイライラしてる。公証人の助手みたいなダークスーツの中に身を縮めてる男だ。道化師だとは想像つかない。ステージ上では、まったく別人だ。色彩豊かな扇や万華鏡のようだ。フティットのメイクアップに関しては、口角を下げて、人生への渇望を失っていくような表情にしようと、メイク担当のナタリー・ティシエと意見が一致した。どこかドリアン・グレイの肖像のようだ。髪型はフティットの実際の姿に忠実にして、前髪を立ち上げた。衣装については、衣装デザインのパスカリーヌ・シャヴァンヌとたくさん話し合ったよ。まん丸のお菓子みたいな格好を受け入れるしかなかった。次第に衣装にも慣れて、身体の動かし方にも慣れたね。撮影で疲れているうえに、メイクに時間がかかって、何着も衣装を着替えて大変だったけど、『こんなカメレオンみたいな役を演じられる映画は他にないぞ』と思っていたよ」


――サーカスのシーンに関しては、こだわりがありましたね。どのように準備しましたか?


ジェームス「ふたり組みのパフォーマンスに関しては手掛かりがあまり残ってないのだけれど、個性を捉えるだけの情報はあった。もう一方で、僕とオマールはフティットとショコラではない。遠くなり過ぎない程度に、僕らなりの喜劇のスタイルを見つけて、それをロシュディ監督のビジョンにはめる必要があった。僕らは4週間こもって特訓した。オマールはすでに道化師になりきっていたよ。必要だったのは基本的な肉体トレーニングだ。オマールは『僕はすべて言葉に頼ってしまう』と言い、僕は『僕は身体に頼ってしまう』と答えた。僕らは互いに努力した。僕は自分の声を使うことに慣れて、オマールは身体を使うことに慣れていった。コンビのパフォーマンスは難しいけど、リハーサルを重ねることによって、自然と形ができてくる。唯一、試しのパフォーマンスができなかったな。普通は、観客の反応を見て微調整を加える。だが、映画ではそれができない。僕らは魔法が効くことを願ってカメラの前に立った。あとは編集で一番いいところを使ってもらうことを願ってね」


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