俺さまイケメンと優しいイケメンのはざまで揺れる平凡な女子高生というストレートなラブストーリーが台湾から上陸。本国で大ヒットとなった今作は、1992年が舞台。ファッションや髪型、街の風景などのレトロな懐かしさも相まって日本でも話題となっている。主演をつとめたビビアン・スンのインタビューをお届けする。
ーーなぜこの映画に出演したいと思いましたか?起用の経緯を教えてください。
ビビアン「最初に脚本を読んだ時、林真心(リン・チェンシン)という役に感じるものがありました。ごく普通の平凡な女の子だと思われますが、私には特別でした。一番惹かれたのは、林真心の内面の魅力でした。何の迷いもなく、この役をやると決めました。オーディションがあり、他の役との芝居など様々なプロセスを経て、最後に監督に選んでいただきました」
ーーどんな感じで役作りをしましたか。
ビビアン「私自身の性格は林真心とはかなりの違いがあります。役作りの際に、自分のペースを崩す必要があり、歩き方から修正しました。彼女は内股なので、こけやすい。さらに分厚いメガネをかけています。メガネの感覚をつかみたくて、街を歩いている時でもメガネをかけるようにしました。外見ですが、私は痩せると頬が凹みます。しかし、私のイメージでは林真心は顔が丸く、親近感のある女の子です。なので、役作りのためにわざと太りました。また、演技のための授業もたくさん受けました。演技だけではなく、例えば、アイススケートや潜る練習などです」
ーー内股というのは、脚本上でそういう設定だったんでしょうか。
ビビアン「いいえ、そういう細かい設定はありませんでした。役作りをしていて、彼女はなぜ何かにつまずいたりしていないのに突然転んだりするのか、ずっと不思議でした。演技の先生と相談したところ、内股なので足首をくじきやすいんだと思いました。また、近視がひどいので、道がよく見えない。あるいは、イケメンに惹かれたり、外の環境に影響され、集中力が途切れたりして、こけやすいというのが、私の役に対する設定です。つまり、脚本から導き出したものです」
ーー自身の想像で役の個性を作っていたのでしょうか。
ビビアン「脚本を理解して、監督と相談する。さらに演技の授業を受け、自分なりの考えも取り入れながら、皆さんがご覧になった林真心の役が出来上がりました」
ーー役作りの中で、特に難しかったところはありますか。
ビビアン「皆さんが面白いと思っているシーンは、実はたくさんの思い入れがあります。例えば、プールのシーン。誰かを避けるためにプールに潜り込むなんて面白い、と思われた方は結構いると思います。しかし、撮影が行われたのは台湾の冬だったので、非常に寒く、1分でも手をプールに入れるだけでしびれる感じがするほどでした。そのシーンだけで8時間かかりました。また、よく転ぶ林真心を面白いと思われるかと思いますが、毎回少なくとも20回は転んでいました。映画での笑いのツボは、全て演技の授業での練習と試行錯誤から出来上がっているのです。観客も私も見ていて楽しかったのですが、思い返すと撮影はかなり大変でした」
ーー一番大変だったシーンはプールですね。
ビビアン「身体上、プールが一番辛かったです。撮影時間が8時間で、非常に長く、上がったり降りたりと、結構苦痛でした。しかし、精神面では、屋上での泣くシーンが一番辛かったです。二日間に分けて撮影したのですが、すでに役になりきっていたので、その間ずっと心が折れている感じがしました。二日間は本当に耐え切れないほどでした。冬の真っ只中で、全身雨に濡らされながら、失恋と重なり、自分がとってもかわいそうでした。それでも、林真心を演じる中で、本当に心から徐太宇(シュー・タイユィ)のことを祝福していました。今思えば、それは一番苦痛で、悲しかったシーンでしたが、一番満足しているシーンでもあります」
ーー難しかったシーンというより、本当に出し切って、ただただ悲しかったのですね。
ビビアン「はい」