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text by Ryoko Kuwahara
photo edit by Ryoko Kuwahara
photo by Valerie Phillips

Valerie Phillips 『Another Girl Another Planet』Interview

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ーーでは、『Another Girl, Another Planet』のコンセプトは?

Valerie「私のお気に入りの写真ってこと。そして私のお気に入りの女の子達。一番古い写真は2000年代に撮ったものだと思うけど、ほとんどの写真は6~7年の間に撮られたもの。PJ HarveyやFlorence and the Machineといった有名人もいるけど、私が世界中で出会った全く無名の女の子たちもいるわ。色々な女の子たちのミックスなの。でも、全員に同じアプローチをしたわ。この作品は、様々なガールズの世界への招待状よ。私にとって、この作品は本当にハッピーでポジティヴ。そして風変わりでエキサイティングでミステリアスなの。それがテーマだったわ」

——あなたには世界中にファンがいますが、どんな人たちがあなたの作品を買っているのでしょう?

Valerie「色々な人たちが混在してると思う。特に10代や20代の若い人たち。そして写真コレクター、男性ファンもいるわ。東京では、多分女の子のファンが多いと思う。とにかく、答えにまとまりがないくらい幅広いってこと(笑)。私の作品を好きでいてくれる人たちがいることが嬉しいわ。それが誰であれ、私にとってはすごく意味のあることよ」

——本当に東京では女性ファンが多いですよね。

Valerie「東京の女の子たちって、皆本当に素敵よね。クールで個性的なスタイルを持ってる。見ていてすごくエキサイティングだし、インスパイアされるわ」

—日本のカワイイ・カルチャーに関してはどう思いますか?

Valerie「私は好きよ。魅了されるわ。原宿を歩き回るのが大好きだし、そこで人間観察をするのが好きなの」

——私はちょっとピンクすぎるというか、度を超えてると思うんですよね(笑)。
Valerie「西洋では、あんなに違うもの同士のミックスってものが存在しないのよ。”ハローキティxゴス”みたいな(笑)。日本は、ジーザスとドーナツみたいに、普段は絶対に一緒になることがない全く異なるものが常に共存していると思う。日本の変わったファッションセンスやスタイルは、まるでおとぎ話みたい。だから歩いて人間観察をするのが好きなの。一日中、毎日、一年中だって続けていられるわ。それくらい退屈しない。色々なことからインスピレーションを得ることが出来るんだもの。原宿ってクレイジーなことだらけ。前に行った時は、店の外に木があって、その木にハンドバックが吊るしてあったんだけど、そのハンドバッグが全部動物だったの。だから、動物が木を登っているように見えるんだけど、ああいうのは超ポップだと思う。カワイイ・カルチャー、私自身は好きよ。面白いと思うわ」

——それらも含めてユース・カルチャーと常に接している印象があります。

Valerie「そう、大好き。でも皆、私が撮る女子達をすごく若いと思ってるみたいけど、実はそうでもないのよ。19歳の子もたまにはいるけど、大体23歳とか25歳、27歳くらい。ただどぎついヘアメイクをしていないから若く見えるだけなの。年齢に適していない格好をした女の子達と勘違いしている人たちも多いみたいだけど、彼女たちは、ただ自分たちが着たいと思うものを着ているだけなの」

——最近のユース・カルチャーに関してはどう思いますか?

Valerie「答えるのが難しい質問ね。本当に色々なことが起こっているのがユース・カルチャーだから。でも、私が面白いと思うのは、最近の若い子たちが、ありのままであることを今まで以上に恐れていないこと。ゲイ、ストレート、フェミニスト、クレイジー・マニアック——本当に沢山の種類の子たちがいるわよね。ユース・カルチャーって、若者がその時代に何にハマっているかを映し出しているものだと思うの。音楽にハマっている子、パーティー、スケボーにハマっている子、それだけじゃなく、本当に様々なものがユース・カルチャーの中にもたらされていると思うわ。すごく幅広い。この世界に生きていることへの祝福がユース・カルチャーだと思う。その中でも、東京は本当に素晴らしいユース・カルチャーが存在する街だと思うわ。刺激に溢れている」

——ロンドンの若い子たちに関してはどう思いますか?

Valerie「この街には、様々な若者や物事が沢山存在していて、皆が精一杯なりたい自分になっていると思う。自分たちの個性を映し出すことを楽しんでいるんじゃないかしら。ロンドンの若者たちは、常にそれが得意よね。若いデザイナーやバンドが沢山いる。そして彼らは、自分たちがやりたいことをやって作りたいものを作ってる。ロンドンの方が、ニューヨークよりも自由だと思うわ。今は物価が高くなってしまったから前より難しくなっているけど、90年代や2000年代は特に自由だったと思う。”今日雑誌を作ろう!”と思ったら、すぐに出来た。物価が安い頃は、自分のスタジオやスペースを持つことが出来たから。でも今は、以前ほど簡単ではないのよね」

——なぜニューヨークからロンドンに引っ越したのですか?

Valerie「さっきの答えが理由よ。当時のニューヨークって、ちょっとビジネス的すぎたし、コンサバだったの。若い写真家たちに自由に活動をさせるという動きがあまりなかったのよね。”これまで何をしてきたの?””まず一度私たちに作品を見せて”そんな感じだった。既に何か自分を証明出来るものがなければいけないのがニューヨークだったの。私はもっと自由でいたかったし、自分のペースで自分自身を進化させたかった。ロンドンには友達も沢山いるし、好きな音楽もロンドンで生まれたものばかりだったし、流れでロンドンを選んだの(笑)」

——今のトレンドはどこから来ていると思います?

Valerie「あらゆる場所から来ていると思うわ。それってすごく面白いと思う。イスラエルかもしれないし、LA、ハンガリー、日本から来る可能性だってある。今、世界中がすごくオープンだし、誰もが旅をするわよね。Facebookで、”来週カザフスタンに行くんだけど、誰か泊めてくれない?”って書き込むことも出来るし、エアービーアンドビーだってある。だから、多くの若者が以前に比べて安く旅をすることが出来る。それもあって、皆様々な場所から影響を受けていると思うし、本当に興味深いわ。個人的には、自分の子供時代に触れたものや友達、会話からインスピレーションを受けているわ。自分の人生経験そのものからね」

——最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。

Valerie「この本を作るのは本当に楽しかったの。夢がかなったような作品なのよ。日本は本当に私のお気に入りの場所だから、沢山ファンがいてくれるのはすごく特別なこと。心から大好きな場所なのよ」


photo Valerie Phillips
interview & text Ryoko Kuwahara


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