—“Don’t Stop The Music”のことですよね? 確かに直球な歌詞だった。前に南波志帆さんに歌ってもらってた曲(”LOST DECADE”)は、彼女に言ってもらいたいことを書いたっていうことでしたけど。
tofubeats「そうです。あれは結構葛藤あったし、本人とレコーディングやりたくなかったんですよ。気持ち悪いですけど、マジで好きだから会いたくないって。この間もイベントで一緒だったんですけど、楽屋とかで普通にしゃべってて、何か違うんだよなあと思いながら」
—憧れでいてほしい、みたいな。
tofubeats「そう。『ツーショットとかなあ、撮れるんだけどなあ……』みたいな。撮ったは撮ったで嬉しいんですけど、何かこう、それはもうファンじゃないみたいな」
—偶像でいてほしい葛藤だ。自分の気持ちを代弁してもらっているのは“Don’t Stop The Music”も同じかと思ったんだけど違うんですか?
tofubeats「森高さんが言うともはや天の声っぽくなるというか、もっとデカいものじゃないですか。もうこれまでの歴史とか、森高さん自体の努力とかがないと言えないことなんで、こういう風にしてるんです。僕自身が励まされるってことは他の人も励まされるはずなんで」
—なるほどねえ。うん、確かに励まされる。歌詞、すごく好きですよ。
tofubeats「実は全然曲が出来なくて、最後はもういいわと思って作ったらこうなったんです。締め切り1時間前とかに出たんですよね」
—それは森高さんに歌ってもらうって決まってる状態で?
tofubeats「そう、歌ってもらうことが決まってからデモ作り出したんですよ。それでもう案の定、大難航しまして」
—前から森高さんのことが好きだって公言してたのにね。でもまさかその希望が通ると思わないですよね。
tofubeats「全く思ってないですよ。森高さんが第一候補でオッケーが出て、いきなりアップフロントの社長に会いますよとか言われて『マジで!?』ってなりました。人生で一番緊張しましたよね。就職とかもしてないんで、初めての面接みたいな感じで」
—うわあ、それはプレッシャーがハンパない。
tofubeats「もうでも、メジャーデビュー前後くらいから起きることが僕のキャパを超えてて、あんまりびっくりしなくなってきたんですよ。YUKIさんとかFlo Ridaとかあって、緊張はしますけども、森高さんと曲ができるってことがどんだけすごいことかは23年くらいしか生きていないんでもう分かんないと。で、分かんないでいいやって思ったんです」
—曲とリリックは森高さんをトレースするような形で書いたんですか?
tofubeats「いや、これは普通にゼロからです。森高さんの曲を参考にし過ぎると、結局は森高千里の新曲になっちゃうなというのがあって。僕が言いたいことを言ってもらってもまだ向こうの方が強いくらいなんで、というのは考えてやりましたね。あの声で歌われたらどう考えたって森高さんの新曲なんで、逆にこっちの主張があった方がいいというか」
—それでもやっぱり森高さん寄りになってますよね。
tofubeats「そうなんです。リズムとかに関してもどうしても意識するから、裏打ちとかじゃなく、どうしても頭のリズムの曲にしないといけないとかそういうのはありました。よく『tofuくんの曲っぽくないね』とか言われるんですけど、確かにそうだと思います。リズムの挑戦とか今回はしてないです。いつも絶対やるんですけど」
—今回の曲は懐かしい感じすらしますからね。
tofubeats「多分譜割りとかがシンプルだからだと思うんですよね。音色とかは今っぽい音とかも使ってるんですけど。個人的に、後半のアシッドベースの絡みなんかは夢があるなあと思ってます。些細なことですけど、森高さんの声と303が絡む日が来るとは夢があるなあと自分で作っておいて思いました。ゼロの段階で唯一決まってたことが、絶対アシッドハウスのベースを入れるっていうことだったんですよ。めっちゃピンポイントですけど、そういうのをやりたかった」
—隔たりがある両者をいかに融合させるか。
tofubeats「隔たりはあるけど、俺は両方好きだっていうのを合わせるのが夢のある作業じゃないですか。こういうのが一番いいし、一番面白い」
—その入れ方も絶妙ですよね。マニアックになり過ぎてない。
tofubeats「そうそう。ちゃんとね、分かる範囲で入れてますから」