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text by Junnosuke Amai
photo by Akihito Igarashi(TRON)

Savages『Adore Life』Interview

NeoL Magazine JP | Photo: Akihito Igarashi (TRON) | Interview/Text: Junnosuke Amai | Edit: Ryoko Kuwahara
―曲作りでは、音よりも歌詞が先ですか?
「歌詞がつねに最初よ。ただ、自分の場合、いつでも曲を書いてるような状態なのね。歌詞だとかサウンドだとか自分が思いついたアイデアを書き留める用のノートをいつも持ち歩いてて、歌詞に関してはいつでも書く準備ができてる状態なの。ただ、曲によって例外もあって……曲ができたら、とりあえずピアノで試してみることにしてるんだけど、そのときはもう完全に自分ひとりだけの作業で、採用されないこともある。ただ、今回の“Adore”と“Mechanics”に関しては、自分が最初に思いついたアイデアがほぼそのままの形で採用されてるって言ってもいいんじゃないかなあ」
―なるほど。ところで、その『アドア・ライフ』のリリースと前後して、『Start Making Sense』っていうあなたがホスト役を務めるラジオのトーク番組が始まりましたよね。あれはどういった経緯で?
「Beats 1(※Apple が世界各国に毎日 24 時間放送で無料配信するラジオ)のDJのゼイン・ロウから『ラジオのトーク番組をやらない?』って声をかけられて。セイント・ヴィンセントとか、クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジのジョシュ・オムがホストを務めていた回が好きで聴いてたのもあったし、自分も前にDIY的にラジオ番組みたいなことをやってたのね。だから今回の話を引き受けたのも自分にとってはすごく自然なことだったの。番組のコンセプトとしては、『Stop Making Sense』(※1985年公開のトーキング・ヘッズ主演映画のタイトル)に引っかけての『Start Making Sense』で、自分が決めたテーマについて探求するというか……私は音楽と言葉の関係というか、言葉がいかに大きな力を持っているかっていうこと……それが人々の心の中でどうやって作用して、音楽が人々の人生をどうやって変えていくのかってとこにすごく惹かれるのね。それでゲストを招いてインタヴューをして、音楽が自分の人生の中心になってる人達の話を訊いたりして」
―同番組ではこれまで、ジ・エックス・エックスのロミーやLCDサウンドシステムのナンシー・ワン、ジョニー・マー、マイク・パットンなど、世代や音楽性も異なる様々なアーティストが出演していますが、ゲストに呼ぶ基準みたいなものってあるんですか?
「自分がただ単にファンだからっていうのと、しかもオファーを引き受けてくれそうな人(笑)」
―マイク・パットンが少し意外だったんですけど。
「え、なんで? 大ファンなのよ。マイク・パットンもサヴェージズを聴いててくれて。そんなに意外かな?」
―いえ(笑)、そうした対話の機会を通じて、同じミュージシャンである彼らから何か学んだことがあるとすれば、それはどんなことですか?
「ものすごくたくさんありすぎて……アーティスト同士でもっと対話をすべきだって思った。ミュージシャン同士で一つのコミュニティを作っているようなもので、自分にとっては家族みたいなものだから……みんながお互いから学べるところがあると思うのね。同じような経験なり境遇を共有してるわけだから、先輩達がどうやってそうした状況を乗り切ってきたのか知ることは、自分にとってもものすごく参考になるし。番組から学んだことは……まあ、ゲストによって様々なんだけど、新たに学ぶっていうよりは、共感するみたいな、自分がもともと知っていることを改めて確認するみたいな感じだったかもしれない」
―たとえば?
「たとえばジョニー・マーが話してくれたのは、音楽でありリハーサル・ルームがいかに神聖な場所であるかっていうこと……そうした神聖な行為に関わっていられることがいかに恵まれていることか、それに対してどれだけ自分は感謝してるのかってことを語ってくれたのね。リハーサル・ルームがあって、そこにドラムとギターがあるなら、実際に音楽が鳴る前から、そこは教会みたいに神聖な場所なんだっていうことを語ってくれたの。マイク・パットンは恐れを知らない姿勢に猛烈に惹かれたというか、何しろありとあらゆるプロジェクトに挑戦している人じゃない? 誰かが気に留めてくれたらラッキーくらいな勢いで、次から次へといろんなことに挑戦していく探究心だったり、人からどう思われようと自分は今これをやるっていう強さだったり……しかも、作品がどれもこれも素晴らしいのね。毎回ポイントを突いてるし、しかも自分の可能性を広げているわけでしょう? それってものすごいことだと思うし、貴重な存在だと思うの。ちなみに昨日はディアハンターのブラッドフォード・コックスにインタビューしてるのよ。日本で(笑)。ひたすら刺激を受けっぱなしだった……本当にインスピレーション受けまくりっていうか、もともとお互いのルーツがすごく似てるのね。彼はアトランタの出身で、私はフランスのポワティエの出身で、それでも同じような音楽を聴いて感化されて、同じような葛藤を経験してきてるから」

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