——杏子さんは、BARBEE BOYSは80年代のあの時代だからこそ生まれ得たバンドだと思いますか?
杏子「どうだろう? ホントに偶然と必然が重なったというか。1983年に四谷にあったライブハウス、FOURVALLEYで私がバービーの前にやっていたアマチュアバンドと私が加入する前のバービーが対バンして。そのときバービーの曲にゲストボーカルで参加したんだけど、それがなかったら私はずっとOLをやっていたと思うし。けっこう優秀なOLだったから(笑)、会社の営業部の人たちにチケットを売って、たくさんの人がライブに来てくれてたんです。バービーに入らなかったらOLを続けてそのままお嫁にいってたと思う。バービーは男子メンバーだけでもデビューできたとは思うんだけど」
——でも、杏子さんが加入しなければBARBEE BOYSの完全独自のスタイルは生まれなかったわけで。
ハマ「そうですよね。たとえばOKAMOTO’Sの様にメンバー全員同級生で、その中に1人女子がいたという話でもないですしね。そういう偶然はなかなか起こり得ないと思います。解散後は再結成するとは思ってもみなかったですか?」
杏子「うん。最初は再結成自体をみんな嫌がっていたし。一度ケジメをつけたわけだから。でも、2008年に『SMAP×SMAP』で一夜限りの復活をして。そのときにやっぱり番組の中のたった3分間という時間に物足りなさを感じたんですよ」
——不完全燃焼だったけど、火が点いたというか。
杏子「そうそう。その流れでRISING SUN ROCK FESTIVALでライブをしたときにお客さんの歓声が今まで聞いたことのない地鳴りみたいにゴ―――ッ!って響いて。やっぱりかつては年間200本近くライブをやっていたバンドだから、その後ライブをやる度によくなっていったんですよ。そして、2010年にやった武道館ライブは過去のどのライブよりも最高の内容になったの」
ハマ「僕はまだ再結成後のライブを映像でしか観られていないので。本当にまたライブをやってほしいです」
杏子「私もすごくやりたくて。あっちこっちで言ってるんですよ」
ハマ「僕が『やってほしい!』ってとにかく言い回ってみようかな(笑)」
杏子「言って! 言って!(笑)。バンドって続けていくことがシンプルだけどすごく難しいから。OKAMOTO’Sもこれからいろんなことがあるだろうけど、絶対に解散というピリオドを打たないでほしい」
ハマ「はい。今はバンドが分裂することは考えられませんが、キャリアを重ねるほどバンドを続けていく難しさを理解できるようにもなってきている気がします」
杏子「私はOKAMOTO’Sの作品を聴いていて、つねにチャレンジしているところがいいなと思う。『OPERA』も新曲の『BROTHER』も新しいチャレンジをしてるよね」
ハマ「そうですね。新しいことにトライしてますね」
杏子「そういう姿勢がすごくカッコいいし、ひとつのスタイルに凝り固まってないところがバンドっていいなって思う。OKAMOTO’Sは幼なじみの少年たちが自分たちで作った基地でいろんな実験をしながらおもしろい曲が生まれてるという感じに映るんですよね」
——杏子さんもつねに若々しいですよね。それは先ほどのハマくんとのフォトセッションでも感じましたけど。
杏子「柔らかくありたいなと思っていて。ジェーン・バーキンさんや桃井かおりさんみたいないい女たちに会うとみんなすごく物腰が柔らかいんだよね。キャリアを積んで確固たるスタイルを持ってるんだけど、いろんな物事を柔軟に受け入れてる。ラジオでジェーン・バーキンさんがゲストにいらしてくださったときに彼女が四つ折りにしたA4の紙を持っていて。『それはなんですか?』って訊いたら、おもむろに紙を広げて『これは私の大事なアドレス帳なの』って言って、そこにいろんな人の連絡先が書いてあったの(笑)」
ハマ「なんでもノートですね(笑)。本当に杏子さんはつねにエネルギッシュですよね」
杏子「柔らかく、かつヤンチャでいたいなって思う。それで落ち着きがないってよく言われるんだけど(笑)」
ハマ「この前もレコーディングのときにスタジオでメロディの確認をしていて、僕は杏子さんの横に立っていたんですけど。杏子さん、目の前に鉄の骨組みがあるのにそれが見えてなくておもいっきり頭をぶつけていて(笑)」
杏子「そういうのがしょっちゅうある(笑)」
ハマ「そこが最高なんですよ、杏子さんは(笑)」
杏子 × ハマ・オカモトのサイン入りチェキを1名様にプレゼントします。空メールを送信するとプレゼントに応募できます。(←クリック)ご応募お待ちしております。
後日当選された方にはいただいたメールアドレス宛にNeoL編集部よりご連絡させていただきます。
撮影 倭田宏樹/photo Hiroki Wada(TRON)
取材・文 三宅正一/interview & text Shoichi Miyake
企画・編集 桑原亮子/direction & edit Ryoko Kuwahara
杏子
9月28日発売
『イカサマ美男子 feat. リンダ/Magenta Butterfly』
OKAMOTO’S
オカモトショウ(Vo)、オカモトコウキ(G)、ハマ・オカモト(B)、オカモトレイジ(Dr)。2010年5月にアルバム 『10’S』、11月に『オカモトズに夢中』、2011年9月に『欲望』を発売。2013年1月に4thアルバム『OKAMOTO’S』を発売し、7月に は両A面シングル“JOY JOY JOY/告白”を、11月6日にニューシングル“SEXY BODY”をリリース。2014年1月15日に岸田繁(くるり)を迎えた5th アルバム『Let It V』を、8月27日にはRIP SLYME、奥田民生、黒猫チェルシー、東京スカパラダイスオーケストラ、ROY(THE BAWDIES)らとコラボを果たした5.5 thアルバム『VXV』を発売。2015年9月30日、6thアルバム『OPERA』をリリース。2016年6月1日にNetflixドラマ「火花」の主題歌となる「BROTHER」を表題曲にしたシングルをリリース。また、同年6月3日から全国47都道府県を巡る「OKAMOTO’S FORTY SEVEN LIVE TOUR 2016」を敢行中。
杏子
1960年長野県生まれ。1984年、BARBEE BOYSのボーカルとしてメジャーデビュー。1992年、バンド解散を機にソロデビュー。オーガスタ所属のアーティストで構成されるユニット「福耳」としての活動も注目を集める。ミュージシャンとしての活動のほか、ラジオパーソナリティや、舞台・映画に出演するなど、アーティストとして幅広いジャンルで活動中。