山口「あっ!」
古澤「早速、お土産見つかりましたか!?」
山口「このちりとり、いい雰囲気!」
山口「むむぅ、塗ってあるのは柿渋ですね? こちらの土地で作られているんですか」
店員「仰る通り、伝統的なちりとりの『はりみ』です。和紙に柿渋を塗って強度を出しています。この土地で作られたものではないのですが、水運で栄えた場所ですから、江戸時代から様々な土地のものが取引されていたんですよ」
古澤「(さ、さすがや。一目見ただけでわかるなんて……)あ! 山車が近くを通っているようですよ! 移動しましょう」
山口「んあ、その前にこっちも!」
古澤「あ、酒造屋さんですね! 佐原は醸造が盛んでしたからね。お祭りの山車もルーツを辿れば商品を川沿いの蔵まで運ぶために使われていたものだそうです……って、聞いてないですね。うぅ……」
山口「このみりん、そのまま飲めるくらい美味しい! キャラメルみたいに濃厚なのに、あっさりとした甘さ……。これ、ください!」
古澤「うわっ! あっさりお土産決まりましたね。あ! 山車、行っちゃいました!!」
山口「すごい迫力!」
古澤「やっと、今回の主役に巡り会えました! 町会ごとに14の山車が町中いたるところを練り歩いています。これを乱曳きと呼ぶそうです。このお祭りは江戸時代に始まったとされています。シンボルの大きな人形が載った山車になったのは近世末期になってから、江戸の人形職人に飾りの製作を依頼し始めたのがきっかけだそうです。佐原の山車に影響を受けたお祭りは周辺にかなりあるようですよ」
古澤「もともと山車は、江戸時代この辺りで裕福になった町人が出資して豪華絢爛さを競う意味もありました。なので、それぞれが江戸の優れた人形師や彫工を佐原まで呼び寄せ、作らせたそうです。佐原には江戸の技術が集結していたと言ってもいいかもしれませんねって……あれ?」
山口「おーい! 意外と高いね、これ! ヤマトタケルノミコだって!」
古澤「え!? なんで登ってるんですか!」
山口「登って体感しないと、お祭りの本当の良さなんてわからないでしょ! 調べるだけじゃだめなんだよ!」
古澤「すみません!」