ーー映画を作るなかで、なにがいちばん大変でしたか?
エイミー「物語を紡いでいくのが難しかったですね。本音を言えば、ジャニスの音楽に浸っていたかったけれど、彼女の少女時代の体験を語らないことには、ジャニスの真実の姿に近づくことはできないと思いました。もっと詩的に、抽象的にジャニスの人生を綴りたいという欲望もあったのですが、ジャニスを決定づけたともいえるテキサスで過ごした日々のことは描く必要があると感じていました。
彼女が世に出て有名になってからの資料はたくさん素晴らしいものがありますが、サンフランシスコへ出ていく16歳までのものはほとんど残っていません。
その大事な期間をどう語ればいいのか?オースティンで、写真やフライヤーなどは数点見つけることは出来たのですが、それだけでは全く足りませんでした。その他の記録や写真、映像、資料もなくなったり、壊れたりしていて、ライブのほとんどはシングルカメラで撮られ、フィルムに残っているものにいいものはあまり残っていませんでした。もっとパーソナルな肖像を描き出すため、編集には力をいれました。資料とにらめっこし、編集者と何度も相談しながら、ひとつずつ丁寧に積み重ねていきました」
アレックス「エイミーは当初、自分に自信を持っていないように見えました。無意味に思えるようなフィルムの山に飛び込んでは、頭を抱えていました。しかし、彼女は諦めなかった。
写真や音源といった資料を掘り起こし続け、ついに彼女は驚くべき材料を見つけることができたのです。D・A・ペネベイカーが撮った「サマータイム」のスタジオでのレコーディング風景です。これには非常に驚きました。このリハーサル映像を観ていると、実際に彼女と一緒に演奏しているような感覚を味わえ、感動しました」
エイミー「あのシーンには私もびっくりしました!ジャニスの声はいつも、彼女の人生を象徴的に表現しているように思います。声をきけば、そのときの彼女がどんなだったかというのを感じることが出来るのです。あのシーンで、ジャニスの声はどんどん大きくなり、叫びは激しさを増し、ただひたすらすべての事をステージ上で吐き出しているかのようで、それは、コントロール不能になった彼女の人生を象徴しているように見えました。ジャニスの声は、彼女の人生がどのくらいの速さで動いているかを、いつも完璧に表現していた、と私は思います」
『ジャニス:リトル・ガール・ブルー』
9月10日(土)より、シアター・イメージフォーラム他全国順次ロードショー
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配給:ザジフィルムズ