このように見ていくと、音楽、音、つまり周波数が人に与える影響は、想像以上に心身の健康に影響するし、その人の状態を診る時に、どんな音楽を好むのかを知ることで、いわば問診にもなることが分かる。
同じ音楽が好きな人と話が合うのは、ただ単に趣味が一緒という以上の、心身全体のコンディションでの共通性を示しているとも言える。
若い世代がカタルシスを音楽に求める傾向がある一方で、年配の世代は安らぎを音楽に求める。そこには個体を超えた種の中での役割を映しているようでもある。もちろん例外は必ずあり、8歳の子供がバッハのグルトベルク変奏曲にはまり、80歳の老人がロックンロール!と叫んだって構わない。
ただ、528Hzやソルフェジオ音階などの、巷に溢れている音楽にはない周波数を浴びるように聴くという音の楽しみ方も、選択肢の一つとして受け入れたいと思う。
音楽家には、周波数に関してとても感度の高い人達もいて、例えばジョン・レノン。彼のイマジンには意図的に528Hzが含まれているし、ビートルズ時代のアルバムにもいくつか残っている。
528Hzの音叉を水に入れて鳴らすと、その水が美味しくなるという。これは試していないが、さきほどその音叉を注文したので、数日後には試せるだろう。いい音が水に与える好影響は以前から言われているが、70パーセントが水から出来ている私たちの身体も、いい音、周波数から影響を受けるのは当然で、識別して接することで、セルフヒーリングの助けとなるはずだ。
何事にも、ドアの向こうが必ずある。
スピーカーやヘッドフォンからだけでなく、無限の音場に耳を向けること。自分を理解してくれる音を見つけること。忘れてはいけないのは、遠くに探さないことだ。全ては手の届く場所にあって、私たちに見つけてもらうのを待っている。目の前のコーヒーカップがどう響くかを、あなたは知っているだろうか?
(つづく)
※『藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」』は、新月の日に更新されます。
「#33」は2016年9月1日(木)アップ予定。