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村川絵梨『花芯』インタビュー

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——瀬戸内寂聴さんの原作も読まれましたか?


村川
「脚本を最初に読んで、その後原作を拝読しました。原作はもっと繊細に描かれていてすごく好きでした。映画には描かれていない部分も原作にはあるので、読んで園子のイメージが固まった部分もあります」


——園子の人間性は本作で実に忠実に描かれていましたね。特に冒頭は激しい感情を出さない分、村川さんの目と口元の些細な表情の変化が絶妙で惹きつけられました。


村川
「本当ですか、嬉しい! 監督からは、もう『何もしないで、何もしないで』と言われていて(笑)。私は最近よく舞台をやらせていただいていたので舞台上で演じるようなオーバーな演技になりやすくなってたみたいで、本作では削ぎ落とされて削ぎ落とされて、という感じだったんですね。おっしゃるように冒頭は園子がすごく冷めていて、脚本にも『園子こういう風に見る』と、その引いた目線を書かれていて、セリフは少なくて。でもどうしたって、起こっている出来事が普通ではいられないことが多くなってきて、感情を出さずにはいられないんです。それをなるべく抑えようとしていたというのが、うまく園子とリンクしていったのかもしれません。本当に今までこういった役に出会ってきていないので、監督に私のこういう部分をいつ見透すかされたんだろうと不思議です(笑)」


——表情の変化でいうと、性交の後がやはり印象的でした。傍観者から、目覚めた時のほころぶような感じがあり、その後には狂ったような。そしてクライマックスがくる。自分の核心に近づいていくという流れにおいて、とても重要な変化だと思いました。


村川
「ええ。その絡み合いが一番大事なところでした。園子が変わっていく象徴というか。『覗いちゃいけない深淵を覗いちゃったの』という、最後の越智さんとのシーンに行くまでの雨宮とのシーンがある。だから絡みに関しては1シーン1シーンを監督とかなり細かく話して、なるべく順番に撮ってもらって。そうすることによって自然と気持ちも流れていったというのはありますね。どういうお芝居にするかは決めず、感情だけを決めたんですが、感情だけは絶対に確信を持って相手役の人とやりたかったので」

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