あらゆる子供たちを祝福するメッセージ
——本作の原題「あなたが狂おしいほどに愛されることを、私は願っている」はフランスでよく知られた名著の一節だそうですね。
ルコント「この長いタイトルは、フランスの作家アンドレ・ブルトンが『狂気の愛』の中で、娘にあてた手紙の最後の一行です。私は20代の頃にこの言葉と出会い、我が子の幸せを願う親の愛情にとても胸を打たれたものです。今回、シナリオを執筆していた時にふと浮かび上がってきて、タイトルとして欠かすことのできないものとなりました」
————あらゆる生命の誕生を祝福する言葉ですね。
ルコント「子供というものは男女が愛し合って初めて授かり、母親が自分のお腹に9か月間その生命を宿すことによってようやく誕生します。どんな出自であれ、人は誰もが祝福されながら生まれてくるもの。この言葉はその真理を伝えていると思います」
————映画の最後でも深い余韻をもたらします。
ルコント「私の人生の支えとなり、本作を作る力を与えてくれたこの言葉が、主人公エリザの生き方にも静かに寄り添う存在であってほしいと思いました。作り手の私からのメッセージとしてではなく、むしろこの映画そのものから自ずと響いてくるメロディや歌声のように、観客の皆さんの心にそっと届いてくれれば嬉しいですね」
取材・文 牛津厚信/interviewe & text Atsunobu Ushizu
編集 桑原亮子/edit Ryoko Kuwahara
『めぐりあう日』
7月30日(土)より岩波ホール他全国順次ロードショー
監督:ウニー・ルコント
撮影:カロリーヌ・シャンプティエ(「神々と男たち」)
出演:セリーヌ・サレット(「君と歩く世界」)、アンヌ・ブノワ、フランソワーズ・ルブラン
2015/フランス/104 分/ヴィスタ/フランス語
©2015 GLORIA FILMS PICTANOVO
原題:Je vous souhaite d’être follement aimée(あなたが狂おしいほどに愛されることを私は願っている) 英題:Looking for her
提供:クレストインターナショナル、朝日新聞社 配給:クレストインターナショナル