NeoL

開く

呂布 × 高岩遼『All in One EP』対談インタビュー

3Z6A6340

――バンドサウンド主体でトラックを構築した『All In One EP』の制作でもそれを感じたんだろうし。

呂布「そうそう。EPの制作で自分が意図していない素材が来ても、そこからさらに自分がアレンジして、ヒップホップならではの視点や考え方を投影してみる。たとえばサンプリングの文化を意識したり。そういうことがいまはフラットにできてるんですよね。そういう意味では、2010年ごろにBase Ball Bearの曲に客演していたときの感覚に戻ったといえるかもしれない」

――ああ、逆に戻ったという感覚もあるんだ。

呂布「Base Ball Bearに客演して『超楽しかった!』と思ったあとに世間に対してちゃんとしなきゃって思っちゃった自分がいて。でも、世間に迎合したいわけでもないし、周りに一緒に音楽をやりたいと思うやつもいないし、どうしたらいいかわからなくなってしまった時期があって。でも、いまはいろいろ一周してGARAGEで遊び始めたころのような感覚に戻ってるんですよね。遼やKANDYTOWNのメンバーからも刺激を受けていて、それを楽しんでいる自分がいて」

――遼もまだまだアウトプットと時間が足りないと思うくらいやりたいことがいっぱいあると思うんだけど。ソロのジャズボーカリストとしての側面もあるし。

高岩「そうっすね。うちのママには『ラッパーかジャズボーカリストになる』と言って上京したので。それが一緒になったのがSANABAGUN.なんですよね。で、もっとソウル的でありブルース的に汗水たらして歌い上げるようなロックンロールをやりたくてTHE THROTTLEを結成したんですけど。THE THROTTLEが一番素の俺っぽいかなと思いますね」

――遼すべてのプロジェクトに全力を注ごうとしているじゃないですか。

高岩「そうっすね。全部俺がやりたいことなんで。SANABAGUN.もTHE THROTTLE もSWINGERZも全部俺のセルフプロモーションみたいなところがあるんです。それでいて、メンバーのことをプロモーションするのも好きで(笑)。仲間がカッコよければ、俺のためにもなるし、チームのためにもなる。とにかく単純に俺が在籍しているチームがダサいと思われるのがイヤなんですよね。それは仲間も同じだと思うし、だからこそ外野に何か言われたら『こっちは全部わかってっから。うるせえよ』って思うんです(笑)」

――すべてがセルフプロモーションということは呂布の活動にもいえることですよね?

呂布「俺は何かをみんなでやるときに通行人Aみたいな、集団のなかのひとりとして埋もれたくないと思っていて。必ずそこに自分の役があることが重要で。『あいつはこの役だから、俺はこの役に徹しよう』みたいな。それはフリーなセッションの場でもそう。もちろん、自分はラップしかしないんだけど、セッションしながら自分の役割を考える。自分が目立てないと思ったら『もっとソロを用意してくれない?』ってアピールするし。その瞬間、俺が輝くためにも」

高岩「俺と亮平が共通しているなと思うのは、何か行動を起こすときに普通の人は考えると思うんですよ。『いや、ちょっと待てよ』みたいな。でも、この2人は自分がやりてえからやっちゃおうみたいな、キッズっぽい純粋さがあるような気がしていて」

呂布「積み重ねた経験値で自分のイメージを崩さないようにしたいよね。経験が自分の道を塞がないように。経験値があることである程度予測ができちゃうから。もちろん、経験値を有効活用するときもあるんだけど、純粋に「大丈夫、いけるっしょ」って後先考えないスタイルも好きだから。たとえ失敗してもそのとき楽しかったら悪くなかったと思える。後悔したら何もおもしろくないし、だったらヤンチャにやるくらいがおもしろいかなって。それこそが自分にとって“LIFE”って感じがする」

――2人ともその音楽人生におけるロールモデルがいないんだよね。

呂布「いないね」

高岩「いないっすね」

――逆にこれから下の世代のロールモデルになると思うんだけど。

高岩「俺らに影響されておもしろいやつが出てきたら最高ですけどね」

――2人は今年の春夏の東京コレクション(WHIZ LIMITED)でランウェイを経験しましたけど、どうでしたか?

呂布「みんなでワイワイして楽しかったけど、ラッパーだからどうしても『これだけお客さんがいるんだったら、マイクがあったらもっと盛り上げられるのに!』って正直思った。それがちょっと悔しくもあり」

高岩「楽しかったけど悔しいというニュアンスは俺もすごくわかる」

呂布「ただ、最近ファッションって大事なんだなって実感していて。いままでそんなにファッションに興味なかったんだけど、よくよく考えれば世界のイケてるアーティストは音楽もカッコいいけど、ファッションもイケてるやつばっかりだから」

高岩「うん、そうだね」

呂布「人に見られる仕事でもあるから。自分がここからどれだけ有名になるかわからないけど、ダサい格好はできないなって思う」

――呂布はEnaLloid(アイウェアブランド)のビジュアルイメージショートムービーでは、女優の岸井ゆきのさんと共演してましたけど、あれもいまの呂布だからできるのかなと。

呂布「うん、前だったらやらなかったと思う。結局、負けず嫌いだから、いままでは人に負けるフィールドに立ちたくないと思ってたんですよね。でも、いまはプロとして芝居をやってる人の横に立ってもシンプルにその人のことをリスペクトできるし、この人カッケえなって受け入れることができるから。それは決してダサいことじゃないと思うし。映像のなかの自分が昔の自分を見ているようで新鮮だったし。それも10代のころの自分に戻った感覚と近いかな」

――あの映像の呂布は中山亮平って感じだよね(笑)。

呂布「そうそう(笑)」

――遼もSWINGERZでは一切楽器を演奏しないし、歌もうたわない劇団としての公演を打っていて。芝居に対する興味はあると思うんですけど。

呂布「絶対いけるっしょ。絶対俺より得意だと思うし」

高岩「芝居の仕事もめっちゃやってみたいですね。オファーはいつでもお待ちしております(笑)。じつは上京するときに石原軍団のコンテストに応募したんですよ」

――マジで!?(笑)。

高岩「いや、マジで。でも、ワンポイントでも刺青が入ってたらNGだったので」

――へえ。呂布と遼の兄弟役とか見たいけどね。

高岩「あっ、それすげえいいっすね!」

呂布「おもしろいかも。『ビーチボーイズ』みたいな設定のやつやりたい(笑)」

高岩「最高だな! 浜辺で『おまえフラれたんだってな?』とか言ってな」

呂布「とりあえず海に行って撮りたい(笑)」

――ストリート兄弟っていう感じで。

高岩「それいただきました!」

――最後にお互いの今後の予定を聞けたら。

高岩「SANABAGUN.のメジャー2枚目のアルバム(『デンジャー』)はメンバー一同自信たっぷりの内容になってるので、ぜひ聴いていただきたいですね。で、9月7日にはTHE THROTTLE初の全国流通盤(『LET’S GO TO THE END』)もリリースされるんですけど、それは全曲一発録りしました。すげえ大変だったんですけど、こちらもメンバー5人の人生を変えるための扉を開くアルバムになってるという自負があるので。ビンビンです」

呂布「俺はここから音楽的にも出来事的にももっと規模を大きくしたいと思ってるので。そのためにいまいろいろ企んでるところって感じですね。あと、KANDYTOWNのアルバムが年内にワーナーミュージックからリリースされるので、こちらも乞うご期待って感じですね」

高岩「そうだ! あと、8月7日に渋谷のHARLEMで平成生まれのミュージシャンやスケーター、タトゥーアーティストたちが集結するイベント(『SPEAK EASY』)を開催するんですけど。ライブアクトでSANABAGUN.も出るんですけど、KANDYTOWNも出てくれるんですよ。会場にスケボーのランプを組んだりして、エッジの効いたイベントにしたいなと思ってます」

呂布「楽しみだね。みんな根は“GOOD BOY”だと思うし」
ryofu
ryotakaiwa_

呂布『All in One EP』と高岩遼CD『The Ryo Takaiwa SHOW』サイン入りで各1名様にプレゼントします。ご希望のCDのタイトルを添えてご応募ください。空メールを送信するとプレゼントに応募できます。(←クリック)ご応募お待ちしております。
後日当選された方にはいただいたメールアドレス宛にNeoL編集部よりご連絡させていただきます。

撮影 依田純子/photo  Junko Yoda

企画・取材・文 三宅正一/interview & text  Shoichi Miyake

編集 桑原亮子/direction & edit  Ryoko Kuwahara

ryofu

呂布

『All in One EP』

発売中

収録曲:

1. Car Race

2. Butter&Scotch

3. Forever

4. Call Your Name

5. Blue Rose

https://2fshop.stores.jp/items/57085f24100315377a004cb1 

sanabagan

SANABAGUN.

『デンジャー』

発売中

(ビクター)

 

https://www.amazon.co.jp/デンジャー-SANABAGUN/dp/B01EAMP48Q/ref=pd_sim_15_2?ie=UTF8&dpID=515KRKQzVeL&dpSrc=sims&preST=_AC_UL160_SR160%2C160_&psc=1&refRID=EEM07DSZ7HD27E2C7TQQ

 

呂布

KANDYTOWN LIFE、ズットズレテルズのメンバー。ラッパー。2016年4月にソロとしては初のEPを自主制作でリリース。さらにKANDYTOWN LIFEとしての動き、新たな楽曲参加などを予定している。

http://kandytownlife.com

高岩遼

ボーカリスト/エンターティナー。SANABAGUN./THE THROTTLE/SWINGERZという枠を超えた3つのバンドの中軸を担う平成のスーパースター。

http://sanabagun.jp

1 2 3 4

RELATED

LATEST

Load more

TOPICS