――遼はラッパーとしての呂布はどのように映りましたか?
高岩「俺も中高生のころはB-BOYだったので。亮平のUSのラッパーっぽい感じが俺の好きなポイントとリンクしていて。それがフロウにも出てるし」
――呂布のフロウは日本語ラップ由来のそれではないですよね。
呂布「日本語ラップはほとんど聴いてないからね」
――1st EP『All In One EP』でやっと呂布のアートフォームとしてのラップのピントが明確になったと思う。
呂布「うん、明確になりましたね。自分が音楽でやりたいことを思い起こしたような感覚もあって」
――やっとそういうタイミングが来たという感じ?
呂布「ずっとタイミングはあったと思うんだけど……いろんなアプローチであれもこれもやろうとして、ちゃんと昇華しきれずひとつにまとめきれなかったというか。『All In One EP』はちゃんとまとまったカタチで表現できたなって。音楽も、生活も、人間性も、歳を重ねることもそう。自分の全部をひとつにまとめることができたなって思います」
――遼も然りこのタイミングでこうやって刺激を受ける同世代のアーティストが増えていることは喜ばしいだろうし。
呂布「そうそう。同世代の音楽家が自分のアンテナに引っかかるようになって、敵としても味方としても『一緒にやろうぜ!』って気持ちになる。いままではクラスでひとりぼっちみたいな感覚もあって。机でボーッとしてたら『おもしろい転校生が来た!』みたいな感じで一緒に遊ぶようになって、気づいたらみんなクラスのなかで目立つ存在になってるみたいな感覚がある。俺は遼と出会う前にYouTubeでTHE THROTTLEの動画を観ていて」
高岩「そうなんだ! どんなきっかけで?」
呂布「わかんない。なぜか行き着いて。普段、俺は自分からロックを聴くことはないけど、映像を通して『こいつらおもしろそうだな』って感じたんですよね。単純に人として興味が湧いて。で、実際に話したら『ジョニー・ザ・キッドです』とか言うから超おもしれえと思って(笑)」
高岩「まず人間的に興味をもてるかどうかっていうのは大事だよね。俺はそいつが情けのあるやつなのかそうじゃないのかという部分を大事にする。さらに呂布のようにフリーキーな感じのなかに芯がバシッとあるようなやつに魅力を感じます」
――かつ不良の匂いがするやつのほうが惹かれるでしょ?
高岩「そうっすね。それもデカいですね。弱いやつが好きっす。弱いからこそ出る野郎の“張る”感じというか。俺もずっと虚勢を張ってる男なので」
呂布「俺のなかでは同世代というのがデカい」
高岩「俺もそう」
呂布「同世代でフィールした人のことはすごく大事にするところがある。こいつも同い年なんだなって思うと余計にグッとくるというか」
高岩「同世代だと一瞬で上下関係がなくなるし、そいつがカッコいいやつだったら、『俺と同じ時間を生きてきて、おまえもなかなかやるな』って思う」
呂布「そうだね」