——間違いないね。シンプルに音楽としてすごく強い曲だと思う。
YONCE「うん。Suchmosはビートミュージックとかブラックミュージックみたいな括られ方をよくしますけど、それってすごく乱暴だなと思っていて。確かにブラックミュージックの要素は強いけど、ロックンロールだし、パンクだし、オルタナだと思ってるので。ザ・ビートルズの時代からバンドの音楽って全部ビートミュージックだって俺は解釈してるから。あとはリスナーがそのバンドの音楽をどう捉えて、その音楽の並みに乗っかるかというだけの話だと思います。だから、俺たちは俺たちなりの気持ちいい音の波の乗り方をリスナーに提示できればいいなと思ってます。それを一番簡単に提示できる場所はやっぱりライブなので。だから、ちょっと畑が違うとされているバンドがたくさん出るフェスとかで俺らの流儀やマナーを突きつけられるのはすごくいいなと」
——横ノリでも縦ノリでも踊りたいように踊れというスタンスをね。
YONCE「そうそう、横ノリだけじゃダメで。それで思うのは、ちょっと偏屈なオヤジみたいなことを言いますけど、みんなライブハウスでバンドマンの指示に従いすぎっていう。『踊れ〜!』って言われても音楽がダサかったら『踊んないよ!』ってスタンスでいいんですよ。『俺はカッコいい音楽じゃないと踊らないよ?』という人がもっといないとバンドのためにもならないと思うんですよね」
——対価を払ってんだからもっとわがままでいいよっていう。
YONCE「そうっす、そうっす。仕事や学校で超ストレス溜めてるのになんでわざわざ金払ってライブを観に来て自分を解放しようとしてるのにそこでも人の指図に従おうとしてんのっていうことですよね。OASISのライブ映像とか観てると客は自由で歌いまくってるじゃないですか。俺だったら『歌うんじゃねえ!』って言っちゃうと思うんですけど、そこで『うるせえ!』って返すのも自由だし。そのおおらかさが音楽のよさでもあると思うから」
——「でも、油断はできねえぞ?」っていう緊張感も大事にしてると思うしね。
YONCE「そうですね。俺らが毎回ライブアレンジを変えてるのはそういう意味でもあるし。盤としてリリースしたからって曲が完成したなんてことはないと思ってますから」
——リリックはあらためてメンバーとの絆を確かめ合うような内容だなと思って。
YONCE「6人で音楽を作ってきて、いままで『これからどうなるんだろう?』って思うことも多々あったので。絶対に音楽でメシを食ってやるっていう6人ではあるんだけど、このタイミングで『おおっ、よかった、よかった。危なかったね!』って思えたというか(笑)」
——危なかったというニュアンスもあるんだ。
YONCE「やっと『この調子だったら無敵だよ! 優勝だよ!』ってやっとホントに実感できたというか。あとは、さっき言ったことともつながるんですけど、バンドがライブをするときにその空間を日常より豊かじゃないといけないと思ってるから。そういう思いもサビメロの歌詞に込めようと思って。歌詞にある“兄弟”というフレーズも俺にとって特別な感じがあって。去年の夏、俺的にデカかったのは高2のころからずっとやってきたバンドを解散したことで」
——OLDJOEですよね。
YONCE「そう。OLDJOEを解散して、あのメンバーたちに『いつかまたデカいところで一緒に音楽を鳴らそうぜ』って気持ちがあるので」