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門脇 麦+菅田将暉『二重生活』インタビュー

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——あのシーンは切なかったですね。「理由なき尾行」というのは、その言葉だけでどんな映画なんだろうと気になってしまうし、強い印象を受けたんですが、お二人も尾行はしないまでも、人間観察が好きだったりしますか?

門脇菅田「好きです」

門脇「街にいる人とか見ちゃうんです。小学、中学生くらいの時から気づいたら人のことを見ていたんですよね。誰がとか、どういう人かというのではなく、人間を動物として見た時に、いろんな思考や感情があるじゃないですか。それが動き方に表れたりするのが面白いなと思っていました。哲学書も好きでしたね。でも飽き性なので、面白いなと思って本を買ったけど読まないなんてこともよくあります(笑)」

菅田「東京はいろんな人がいて、この世界にいるといろんな人と出会えますし、なにか比較するというわけではなく、自然といろんな人が目に入ってくるのはあります。僕は哲学書は読んでなかったけど、占星術的な統計学は好きでした。月とか、母親が好きだったので読んでましたね」

——観察つながりで、今回の共演でお互いを観察しての感想をお聞かせください。

門脇「菅田くんはよく寝ます(笑)」

菅田「よくご存知で(笑)」

門脇「お弁当をすごい早さで食べ終わって、気づくと寝てたりとか、本番中も寝てましたよね」

菅田「寝たね(笑)。俺、寝たことに気づいてなかったもん。恥ずかしかったなあ。助監督さんがフォローしてくれたんだよね。ツンツンってつついたり、台詞を飛ばしたのを『すみません、僕です!』って謝ってくれたり。それくらい心地よかったんですーーという言い訳で(笑)。門脇さんは、体躯の動かし方というか身のこなしがすごく柔らかくて、キャッチーなんだけどナチュラルなんです。あれこれ考えていくと動線が硬くなってこわばっていくんです。自分はそうなりがちなんですが、一緒にお芝居しているとほどけだ瞬間が何回かあったんで、すごいなと」

——菅田さん自身もそれを取り込めた?

菅田「取り込めたというよりは二人で生活してるので、表面的じゃない感じで繋がっていたのかなと。あと、声がいい。聞きやすいけど変に高くなくて、すごく印象的でした」

門脇「菅田くんは柔軟性がある」

菅田「あれ、寝てるって感想だけでは物足りなくなってきたの?(笑)」

門脇「そう(笑)。良いも悪いも全部ひっくるめて、とりあえず一回飲み込むんです。いきなり『それはダメ』と拒絶しないのはすごいなあと思いました」

菅田「ちっちゃい頃からのクセなんですよ。拒否ってものがなくて。困る時もあるんですけど」

門脇「強みだよね」

菅田「そうなのかな。そうならありがたいけど」

——珠は尾行することで主体と客体が入り混じっていきますが、門脇さんは自分だったらそうはならないとおっしゃられてました。普段、役柄を作るうえでもはっきりと自分と役の線引きをされますか?

門脇「私、役を作るという感覚が本当にわからなくて。ひとつあるのは、普段の作品だったら悲しいシーンをやって家に持ち帰ることはないんですけど、今回はそれをしない方が面白いかなと思って、ずーっと珠の感情のままでした。私自身は心赴くままにしか生きてないので、尾行して人の何かを見たくらいで心のセンサーには触れないんですけど、珠みたいな状況で生きてきているとしたら心が動くのも分かるので、今回はその分かるという部分を使った感じです」

菅田「自分が主体だから、どっちの感情か分かるってことでしょ?」

門脇「そういうことだね。自分の中の感情を使うんですけど、その感情は私の感情ではないってことは分かります」

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