——アプローチの仕方が似てたりとか、そういうのは特に感じたりしませんでしたか?
菅田「お芝居とはいえ、どこかには経験から来ている自分みたいなのがあるんだと思うんです。ある種ト書き通りといえばト書き通りだし、決められていることがあるとしたら、途中で携帯を見るとかはあるけど、他はなにも決まってないですし」
門脇「インして初日から2、3日で菅田くんとのシーンを撮っているんですね。尾行に行くと、キャラクターというより尾行によって見えてくるものや、そこで行われていることがシーンの肝になるので、珠のキャラクターのベースは卓也とのシーンで提示しなきゃなというのは自分の中にはあって。だから二人の空気がマッチするというか、私も菅田さんもバロメーターの中でどのあたりが合うのかを無意識のうちに探っていたと思うんですけど、最初からピタッときた感じでした。私が菅田くんの空気に乗っかったところもありますし、逆に菅田くんも私の空気に乗っかったこともあるかもしれないし。具体的に乗っかろうとは思ってないですけど、そういうことはもしかしたら無意識にされていたかもしれないとは思います」
——お二人の生活の部分でキャラクターを出していかれたということですが、尾行することによって珠のキャラクターもちょっとずつ変わっていきますよね。その変化を浮き彫りにしてくれるのが卓也との生活だったと思うんです。キャストのほとんどが二重生活をしているような中で、唯一二重生活をしてない設定である卓也から見た珠、そしてその珠と向き合う自分というのを3日間でどう演じられたのかなと。
菅田「想像でしかない部分もあるんですけど、卓也として自然と身体が動く時というのはやっぱりありました。カットがかからなかったときに、珠が急いで出て行った後の脱ぎ散らかした服を見て、もしかしたら今までは普通に片付けて出かけて行っていた人がそうしているならば、なにかが起こっているんだなと想像はつくし、なんとなくその洗濯物を片付けてみたり。急にクラゲを観に行ったと大げさな動きをする珠に、無意識のうちに、なんか今までと違うなと頭の中に引っかかっていったり。その時に卓也もちゃんと言えればいいんですけど、そういうのが積み重なってカップラーメンのシーンに繋がると思うんです。最後にお互いの本心が出るというのはリアルですよね。なんなんですかね、あれは。恋人のあるあるですよね(笑)。あの時も『こういう賞を頂いたんだよ』『よかったね』と普通に話して、でも次の日には、ね」