——やはりイギリスがルーツなんですね。篠崎さんのお花を見ていて、イギリスの都市部から離れた所にある野性味があるお庭と通じるものがあると思っていたんです。
篠崎「嬉しい! すごくゴージャスな、花の造りが美しいものというよりは、野性の花畑を切り取って、都会にドンと持ってきたようなイメージが好きなんです。そこに私のデザインを加えるとしたら、自然の世界では出会わないであろう、植物を組み合わせて調和させるのが好きで。しきたりを重んじる人からしたらとんでもないことなんでしょうけど、運良く師匠がいなかったので、そういうことを言われずに自由にやっています」
——固定概念にとらわれない発想ですね。
篠崎「はい。産地だけでなく、ウェディングには、菊は使わないという縁起的や固定観念のようなものもお花の世界にはあるんです。でも菊は海外では日常的に飾られているもので、日本で仏花というイメージがついているだけで決して縁起が悪いわけではない。日本伝統の菊人形が元ネタで、菊の花畑をパターンとして服を作るというイメージで、いろんな場所にお花を活けて撮影しました。お花界のオルタナティヴでいたいんですよね。そうやって固定観念にとらわれず、いろんなシーンにお花を落とし込んでお花を見てもらいたいなと思っています」
————確かに、ヘアゴムや絵、音楽など、篠崎さんは飛び抜けてコラボレーションが多い。
篠崎「いろんなコラボレーションしてる理由は、元々音楽もファッションも好きで、それがMVや服などにも落とし込むことができて、全部の夢が叶った気がしています。bedroomは夢を叶える場所としてあるので、お花屋さんだけど、いろんなことが出来て楽しいです。花の可能性はすごいんですよ。お花はそこに一本生えているだけでも素晴らしいんです。お花達は森の中に生えていたら虫や動物しか見ないで終わるかもしれないですが、SNSなどで何千人、何百人の人に見てもらって、『きれいだね』と言ってもらうことも素晴らしいことだと思っています」
ーーお花を一つの生命として捉えていらっしゃるんですね。
篠崎「まさに。だからこそ、『きれいだね』と言ってもらった方がいいのかなと思って、この仕事をしようと決意しました」