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リチャード・カーン(Richard Kern)インタビュー

◎You Killed Me First


―そうした変化の背景には、“女性のヌード”というものに対する世間の見方が変わった、というのもあるのかなと。

リチャード「何かを若いときに見て、それから歳を取ってそれを振り返ると、自分がどれだけ影響を受けているかがわかる。僕の作品を若いときに見た人たちが今大人になって、その作品を自分がどう受け止めるか、どうしたいかを自分の意思で決めるようになっていると思うね。時代が変わったのもあると思うよ。パンクなんて、今やノスタルジックだからね(笑)」

―PLAYBOY誌が女性のフルヌードを掲載しないことを決めましたね。インターネットの普及で女性のヌードに価値がなくなったから、だそうですが。

リチャード「僕もそう思う(笑)。ポルノ業界で働いていた知り合いがいるんだけれど、彼はポルノのウェブサイトを持っていたんだ。でも今は、ほぼ裸なんだけれど服を着た女性をウェブサイトに載せるようになった。それで彼は成功したんだよ。ヌードが掲載されていないというのがそれに繋がったわけで、ポルノやヌードといったものは溢れているから、それを面白いものにするというのはチャレンジだと思う。ただ裸で立っているだけではダメなのさ。僕の昔の作品も、30年前に比べれば驚きは少ないだろうね。自分の作品よりも過激で稚拙なものがあれからたくさん出てきた。そういった映画が出回り、低予算と下手な演技で作られていくことで、出来がもっとひどくなっていったと思う」

―フォトグラファーとしてカーンさんが初めて制作した作品『New York Girls』が昨年、刊行から20周年を迎えました。この20年の間に様々な女性を撮られてきたと思いますが、被写体になる女性側の変化を感じることはありますか。 

リチャード「最初は自分の友達を撮影していたんだ。そこから彼女たちの友だち、その友だち、そのまた友だち……を撮影するようになった。今は、インスタグラムなんかで見つけたりしているよ。でも、人に『自分も女性の写真が撮りたいんだ』と言われれば、自分の彼女や友だちから始めろとアドバイスしている。その写真がよければ、そのモデルたちが友だちや知り合いに広めていってくれるから」

―ところで、カーンさんが活動を始めた70年代末のニューヨークの雰囲気とはどのようなものでしたか?

 リチャード「70年代終盤のイーストヴィレッジは、誰も住んでいないビルとドラッグだらけだった。今は全然違って落ち着いているけどね」

―当時のニューヨークについて、リディア・ランチは「大勢の変人が魂を浄化するために集まってくる場所」と話していましたね。 

リチャード「その話は知らないけれど、他とちょっと違った存在になりたければ大都会へ行くよね。東京に来る人も、他とは違う何かを求めて来ているはず。僕は南部の小さな街で育ったけれど、ニューヨークだけが自分の行き先だった。それかロサンゼルス。でも、僕にとってはニューヨークの方が良かったんだ。アートがより先に進んでいたからね」

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