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DAISY BALLOON「MOBILE 孤立した僕達はどうして失われた共同体を求めてしまうのか。」インタビュー

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——細貝さんは、河田さんの状態をどう捉えていたんですか?

細貝「待ちました。歌手になりたい男性が、歌詞を考える時に訴えるものがない。世の中に不満がないから歌詞が書けない。それと同じ状態だと思うんです。表現したいものが生まれてくるまで待つしかない。私もいろんな形をやり尽くしたというのもあって、ビッグバンは答えが出てくるまでとことん作り続けてみようと思いました」

——では、無から生まれる何かを模索していたからこそのビッグバンだった。

河田「そうです。僕らのテーマは常に宇宙に関連しているんですが、今回はコンセプトが浮かばなかったので、全ての始まりであるビッグバンに頼ったという感じです(笑)。さらに撮影スタッフやギャラリーの方々などに、何も浮かばないけどどうしたらいいんだろうと話したら、少しずつ道を示してくれて、コンセプトが広がって出来てきた。コンセプトがあって作品が出来るという過程とは全く逆の形で生まれたのですが、宇宙が爆発して粒子から僕らが生まれて、それが最終的には宇宙は戻るという過程と同じで、戻るという力が働いていたんだと思います」

——なるほど。メインヴィジュアルのドレスが半年をかけて作られたものですか?

河田「はい。高次元のブラックホールで揺らいでいるドレスを作りたかったんです。そして、身体の中にも宇宙があるということと同時に、個人や孤独、そこからの広がりも表現しています。僕は今のデジタルの広がり方に問題があるように思えるし、テクノロジーへの脅威を感じています。というのも、昔は太陽を見ながら感情や信じるものなどを直接的に共有することができたのが、今ではデジタルな媒体を通してしか共有できないような傾向がある。体験していない人でもリアルに体験した気分になれるけど、そういうことがますます孤独になる要素だと思えるんです。でも、個々の関係の中で向き合っていけば、昔のように太陽の下で考えが共有できるような場が持てるのではないか。一人ひとりが何かに気付いて広がっていくことで、テクノロジーに対応できる力が出来るんじゃないかという問いかけであり、考える場を作りたかったです」

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