ーー以前フランソワ・オゾン監督の映画『しあわせの雨傘』では、詩を暗唱しながらジョギングしましたね。あの時あなたのイメージとは違う役を選んだのはなぜですか?「新しいカトリーヌ・ドヌーヴ」というイメージの体現ですか?
ドヌーヴ「演じる上で、イメージなんて考えたりしないわ。自分のイメージなんてないし、私はいつも直球なの。 あの作品も独創的な面白いアイデアだったから出演した。「したいことはあえてする。だって私は錆びてなんかいないから」なんて言わずにね。(笑)でもあの役は私よりも少し若いような気がするわ」
ーーお気に入りの役ですか?
ドヌーヴ「気に入っているというか、そうね、惹かれたわ。自分とそれほど違わず、型通りでもないところが、魅力的だったの」
ーーそれはフランス人がもつあなたのイメージとは全然違いますね。
ドヌーヴ「ええ。でも、フランス人は演じている私にはかなり寛大だと思うわ。雑誌の表紙とは違ってね」
ーー雑誌の表紙というのは?
ドヌーヴ「金髪でエレガントなパリジェンヌ。でも映画なら、奇妙な私を見ても、特別な衝撃はないと思うの。衝撃的なことって、現実に毎日あるでしょう!?私はサプライズが好きなのよ」
ーーロック精神があって、意外です。
ドヌーヴ「ロック精神かどうか、でも、型破りな方が好きね」
ーーご自分がカトリーヌ・ドヌーヴ、というオーラを出していると思いますか?
ドヌーヴ「そんなこと言ったこともないわ。そんなものはないわ。謙遜じゃなく『私はこうです』なんて、あらたまった表明などしないわ」
ーーご自分のイメージ像は嫌いですか?
ドヌーヴ「私はずっとこうよ。いつも、こうしているだけ」
ーー今回の作品もそうでしたが、若手の映画監督に信頼を寄せていますね。彼らの初期作品に出たり、監督たちと知り合ったり、最近はジェローム・ボネルやジョアキム・ラフォースといった監督とも組みたいそうですね。
ドヌーヴ「ええ。『神様メール』のように私からメールを送りつけたりしないわ。(笑)映画の話をしたくて、手紙を書いただけ。出演させてなんてお願いをしているわけではないの。(笑)映画はジャンルを問わず好きだから、監督が好きだし、若手監督は特にね」
ーーあなたのほうから発信して経験を伝えているのですか?
ドヌーヴ「観て吸収してほしいと思っているの。質問すべてに答えないこともあるし、それでいいと思っているわ」
ーー直観的ですが、仕事上の人間関係もそうですか?
ドヌーヴ「そうよ。人間関係には時間がかかることもあるけれど、自然体でいるの。現場で迷惑かけたくないものね(笑)」
ーー若手監督への好奇心は、仕事上だけですか?
ドヌーヴ「指導してくれる人が必要なだけ。信頼関係を築くためなら、若い監督に指導してもらうのもいいと思うわ。『あれを見ておいて』なんて言うだけじゃなくね。それ以外の興味はないわ」