神様は実在し、ブリュッセルに住んでいる。
とにかくかわいい神様の娘10歳のエアが、
ーー『神様メール』では、主婦の役で登場していますが、今回のように比較的小さな役でも出演することはよくありますか?
ドヌーヴ「もちろん。私はこれまで、演じたいものだけを演じてきたの。シナリオを読み、面白いと思えば、主役でなくても引き受けるわ。長年そうしてきたように」
ーー今回この役を引き受けた理由を教えて下さい。
ドヌーヴ「まずはシナリオがよく出来ていました。一風変わったユーモアがあり、それが素敵だったしスカッとする陽気なお話だったの。ドルマル監督がこの人物を私に、と話してくれたとき、このおかしなアイデアをとても気に入ったのです」
ーーシナリオでは、あなたが演じる裕福な主婦マルティーヌがゴリラと寝るシーンがあると分かったときはどう思いましたか? 斬新な美女と野獣バージョンです。なぜこの役に挑もうと思ったのですか?
ドヌーヴ「実はその部分だけ、はじめは分かっていなかったの。ある夫婦がいて、夫が多忙なビジネスマンでという、よくある設定のお話だったのよ。それが、いきなりゴリラと出会い、一目惚れするという展開で、その素敵なお猿さんに会いに行ったり、ベッドインしたりと、非現実的なものが物語に収まっていくのがおかしくて、とにかく気に入ったのよ」
ーー迷わず、その小さなお話に入り込めたというわけですね。
ドヌーヴ「『小さなお話』ではなくて、ゴリラが恋の相手になるという立派なラブストーリーよ。今回は超現実的でどこかズレた表現をしてみたの。はじめは無理だと思ったけれど、演じてみた結果、とても楽しかったの。そうすることで意外にも、ゴリラが登場するシーンの撮影がリラックスした、楽しい雰囲気になったのよ。ジャコ・ヴァン・ドルマル監督とは初めてだけど、またいつか組みたいわ」
ーー出演作を決めるときは、ご自分が演じたいものを選ぶのですか?
ドヌーヴ「私はこれまで、演じたいものだけを演じてきたわ。デビュー当時からずっと。好きではないものもあるけど、全体的には、やりたい映画をやらせてもらっているわ。幸運だったのね。若い頃の映画はどれも成功したから、自由にさせてもらえたんだと思います」
ーーこの役は一風変わっていますね。出演作中で最も奇妙な映画ですか?
ドヌーヴ「そんなことはないわ。理性的なほうだと思うわ。日常では、皆もっと奇妙なことをするでしょう!? ゴリラとベッドにいるだけで非現実的で、一風変わったワクワク感があった。そして同時に、現場はとてもいい雰囲気だったの。ドルマル監督は、感じがよく、優しく穏やかで、私にとってとても素敵な経験だったのよ」