──台風の夜、良多の母親と響子がふっと2人きりになるシーンが、とても深く心に残りました。女優・樹木希林さんの印象はいかがでした?
真木「共演させていただいたのは今回が初ですが、何だろう、すごく折り目正しい演技をなさる方だなと感じました。当たり前ですが脚本をしっかり読み込み、是枝監督の求める母親像を表現していらっしゃった。でもそこには樹木さんにしか出せない何かが、確実に存在してるんですね。あれだけの経験と年輪を重ねた俳優さんしか伝えられない、味わいみたいなもの。すごく羨ましいと思いながら見ていました」
──それも含めて、最後に。真木さんは今、『海よりもまだ深く』という映画のどういうところがチャーミングだと感じていますか?
真木「いろいろありますぎて困りますけど……やっぱり、無駄なシーンが1つもないことかな。物語に出てくる人と人の距離感が、それぞれしっかり描かれていて。しかもそれが1つの映像作品として、完璧なバランスで成り立っている。そこが本当に素晴らしいなと思うし、大好きなところです」
撮影 永瀬沙世/photo Sayo Nagase
ヘアメイク AYA/hair&make up AYA(LA DONNA)
スタイリング 三田真一/styling Shinichi Mita(KiKi.inc.)
取材・文 大谷隆之/interview & text Takayuki Otani
企画・編集 桑原亮子/direciton & edit Ryoko Kuwahara
『海よりもまだ深く』
台風の夜に、偶然ひとつ屋根の下に集まった“元家族”。夢見た未来と、少しちがう今を生きる大人たちへ贈る感動作。 笑ってしまうほどのダメ人生を更新中の中年男、良多(阿部寛)。15年前に文学賞を1度とったきりの自称作家で、今は探偵事務所に勤めているが、周囲にも自分にも「小説のための取材」だと言い訳している。元妻の響子(真木よう子)には愛想を尽かされ、息子・真悟の養育費も満足に払えないくせに、彼女に新恋人ができたことにショックを受けている。そんな良多の頼みの綱は、団地で気楽な独り暮らしを送る母の淑子(樹木希林)だ。ある日、たまたま淑子の家に集まった良多と響子と真吾は、台風のため翌朝まで帰れなくなる。こうして、偶然取り戻した、一夜かぎりの家族の時間が始まるが――。
原案・監督・脚本・編集:是枝裕和 ( 『海街diary』 『そして父になる』 )
出演:阿部寛 真木よう子 小林聡美 リリー・フランキー 池松壮亮 吉澤太陽 橋爪功 樹木希林
5月21日(土) 丸の内ピカデリー、 新宿ピカデリー他 全国ロードショー
公式サイト:http://gaga.ne.jp/umiyorimo
配給:ギャガ
(C)2016フジテレビジョン バンダイビジュアル AOI Pro. ギャガ