──インタビューで真木さんが「是枝組の現場にはいつも安心感がある」と発言されてたのは、そういう空気感も大きい?
真木「大きいです。あ、あと現場にいつも子供がいるのも大きいかな(笑)」
──子役の自然な演技も、是枝作品の大きな特徴ですね。監督はよく「子役の演出では、カメラを回していない時間こそが大切」と仰っていますが……真木さんは今回、息子役の吉澤太陽くんとは現場でどんな時間をすごしてました?
真木「そうだなぁ……一緒にゲームしたり、ちょっかい出してみたり。普通のお母さんが普通にやってるようなこと。太陽くんは真面目でシャイな子なので、穏やかな時間でした。『そして父になる』のときはワンパクな子供が3人いる役だったので。それこそ毎日、撮影現場に子守をしに通ってる感じでしたけど(笑)」
──阿部寛さん演じる良多は、50歳になっても小説家の夢を諦めきれず、言い訳ばかりしている中年です。ちょっと笑っちゃうくらいのダメ男だけど、男性の観客がどうしても自分のある部分を重ね合わせて感情移入してしまう。真木さんはこういうダメ男ってどう思われますか?
真木「もちろん、仕方ないなって気持ちはありますよ。でも、映画ではダメな部分が強調されてるけど、ああやって自分の思いどおりに物事が運ばない切なさは、男女に関わらず誰でも持ってるんじゃないかな。少なくとも私は共感してしまったし。何より阿部さんのお芝居が魅力的すぎて(笑)。どうしたって憎めませんよね。良多は良多で、不器用なりに父親であろうと頑張ってるわけですし。ありふれた言い方かもしれませんが、やっぱり愛すべきキャラクターなんだと思ってます」