──実は、ハインズがかなりタイトなスケジュールで、もう出ないといけないんです……。
マーヤ「そうですか。本当に聞きたいことたくさんあったんですけど……。ハインズは、CDショップの試聴機に入っているのを、何の情報もなしに聴いたんですね。なかでもアルバム1曲目“Garden”はとてもインパクトがあった」
カルロッタ「本当!?」
マーヤ「その後、今回の対談のお話をいただいて、まずやっている音楽だけじゃなくどんな子達がどんなマインドで今に至ったか知らないと対談できないと思ったから、アルバムを聞き直しコピーしてみたり、いろんなインタビューやミュージック・ビデオなどをチェックしたんです。アデが、メンバーからベースをプレゼントされてそこから弾き始めたという話とか、いろいろ知っていて」
アデ (苦笑)
マーヤ「だから本当は聞きたいことなんてなくて。いろんなインタビュー記事を読めば全部わかるんですよ。ライヴも見させてもらったし、話をしてよりハインズの誠実さも解りました。ただ、伝えたかったのは、ハインズの音楽を聴き、音楽に対する姿勢を知り、僕がバンドをやり始めた頃を思い出させてもらえた、感銘を受けたんです。キングブラザーズは変わらず全力で活動していますが、実はN’夙川BOYSが活動休止することに決まった辺りから、ずっと自分の個人的なロックンロールアイデンティティーのことでずっとモヤモヤしていたんですけど、彼女たちの音楽が今後の指針を与えてくれた。まさかスペインのバンドから、再び闘うための指針を教わるとは……。出会えて本当にありがとうという気持ちです」
アナ「うれしいわ。そんなこと言ってもらえるなんて」
マーヤ「きっと、音楽をやっている人もそうでない人も、悩む時期ってあると思う。そういう瞬間にハインズの音楽は、すごく力になるはず。だから、嫌いになるヤツなんていないんじゃないかって。また、自分が信じて作っている音楽と、ハインズの音楽って、そんなに違いはなく近いマインドでやってると思う。他人事じゃない気がしていて、そんなバンドが世界に認められているっていうのは、今後の励みになります。かなり前に一度、1stアルバムを出した後くらいのザ・ストロークスと日本で彼らのツアーをサポートしたことがあり、合間に話したりパーティーをしたことがあったんですけど、同じようなパワー(人間力)をハインズに感じました」
アナ「会ったことないけど、私たちもザ・ストロークスは大好き」
マーヤ「今後も同じスタンスで音楽を作り続けて、それが世界に通用するということを示してほしい。あなたたちの活躍が、今後の僕の力になるので」
アンバー「本当にありがとう!もう泣きそうなんだけど……(号泣)」
ハインズ全員「マーヤはもう私たちの友達よ!(みんなで抱き合う)」
撮影 永瀬沙世/photo Sayo Nagase
取材・文 松永尚久/interview & text Takahisa Matasunaga
企画・編集 桑原亮子/direction & edit Ryoko Kuwahara
取材協力 nano・universe The Oak Floor
http://theoakfloor.jp
HiNDS『Leave Me Alone』発売中
(Lucky Number/Red Project(SME))
HiNDS
スペイン・マドリード出身の女性ガレージ・バンド。2013年に始めたカルロッタ・コシアルス(vo,g)とアナ・ガルシア・ペローテ(vo,g)によるデュオ“Deers”を前身に、2014年にアデ・マーティン(b)とアンバー・グリムベルゲン(ds)が加わりバンド編成となり、“Hinds”と改名して始動。名前は“Deers”と同様に“雌シカ”の意味。同年4月のギグから精力的にライヴを展開し、新人ながらザ・リバティーンズやザ・ヴァクシーンズ、ブラック・リップスなどのサポートも経験。2016年1月に1stアルバム『リーヴ・ミー・アローン』をリリース。
http://hindsbandjpn.tumblr.com
マーヤ(KING BROTHERS/N’夙川BOYS)
兵庫県西宮にて1998年に結成の暴走爆裂ハードコア ・ブルースな変態ガレージ・パンク・バンド、KING BROTHERSのギター/スクリーム。また、同じく兵庫県出身のロックバンド、N’夙川BOYSのギター、ボーカル、ドラムを務める。N’夙川BOYSは2016年2月より活動休止中。KING BROTHERSは毎月第一月曜日21:00—24:00西宮さくら(FM78.7MHz)にてラジオ『ロックンロールハイスクール』を生放送。
5月11日(水)新宿LOFTにてライヴイベント「DEAD180」、6月22日(水)神戸スタークラブにて「KING BROTHERS 2016 KOBE STAR CLUB Last ONE MAN LIVE!!」を開催。