<イヤホン1個でも伝わる音楽のほうが良い>
ーー改めてこの20年を振り返って、思うことはありますか?
中納「あっという間の20年だった。世の中もデジタル化したり、一瞬で色んなものが変化していますが、変わらんものもあると思うんです。自分のことで言ったら音作りや表現の仕方は変わってないですね。デジタルも使うけど、やってることは昔から結構アナログやったりして。そういう人もいっぱいいらっしゃるんじゃないかと思います」
森「うん、デジタルが進むほど、アナログなものに魅かれるというか、逆に高貴に見えるというか。聴き手の環境や機材が変わっても変わらず心に届く音楽を作りたいですね。音楽のジャンルにもよると思うんですけど、流しのおっちゃんの音楽とかグッとくるやつあるじゃないですか。ああいうのって、そういうものを超越したものがあるから、そこが伝わるのが一番すごいんちゃうかなって。だから、片方のイヤホン1個でも伝わる音楽のほうがなんか良いなって思いますね。聴こうとして聴くんじゃなく漏れてくるっていうか。自然に漏れてくる音って音楽っぽいなと」
中納「その漏れてくる音が良いって思う人もいれば、それを聞き流す人も多かったりする。そういうの感じれるって、すごい大事ちゃうかなと思う」
森「蓄音機のシステムもそんな感じするんですよ。ドアの開きで音の調節をしたりするんですけど、ええなって。デジタルが進行するほど、そういうものがたまらんって人が出てくるんじゃないかな」
中納「今はジャンルも細分化されているし、パソコンだけでしか音楽聴かへん人がほとんど。かといってPCから流れてくるようにミックスしているわけじゃない。発信する側というより受け手側の問題で、あんまり振り回されないようにしようと思いますね」
ーーたしかに、デジタル化が進行するほどお二人の音作りの価値が高まりますね。最後に、21年目のEGO-WRAPPINの展望を聞かせてください。
森&中納「もっとEGO-WRAPPIN、自分の心を解放していきたい。やっぱり、知らず知らずのうちに制限をかけてしまうのが大人になるってことじゃないですか。でも20年ってすぐやったし、こうやって過ぎていくねんなってスゲェ思う。どんだけあがいても泣いても笑っても勝手に過ぎていくから。だから心の鎖を外して感じたいです。いろんなことを。UNCHAIN MY HEART!」
撮影 中野修也/ photo Shuya Nakano
取材・文 中川謙次/interview & text Kenji Nakagawa
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