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越後湯沢~新潟間を走る上越新幹線に現代アートを新幹線で移動しながら鑑賞できる世界最速美術館、最高速度210kmで走る「現美新幹線」が運行スタートする。
通常座ったままの新幹線が回遊してアートを楽しむというコンセプトに。上越新幹線の越後湯沢から新潟の間で土・日曜、祝日を中心に1日3往復計6本のダイヤで年間120日程度運行を予定している。総合プロデュースを担当したのは、TRANSIT GENERAL OFFICE、中村貞裕・岡田光。レストラン列車「TOHOKU EMOTION」に続く東日本旅客鉄道との2つ目の鉄道プロジェクトとして、乗ること自体が旅行の目的となるような魅力的な列車作りを考え、いままでの列車の空間デザインの枠を越えた旅の時間を体験できる列車としてプロデュースを行った。
現美新幹線のエクステリアデザインを担当したのは写真家で映画監督の蜷川実花。列車全体をキャンバスに見立て、夏の夜空を彩る長岡の花火が描き出された。濃紺を基調にカラフルな花火の写真に覆われた車体は新潟の田園風景を通りすぎると誰もが振り返る圧倒的な存在感を放つ。
6両編成の車両は注目のアーティスト7組がこの列車のために製作した現代アートが各車両に展示されている。唯一の指定席11号車は松本尚が担当。五穀豊穣、祝祭、光をテーマに触れられるアートとして車両シート、車両カーペット、カーテンに至るまでデザインされている。12号車から16号車までは片側の窓をつぶし、完全にアートスペースに。12号車は鏡面ステンレスを用いた作品を小牟田悠介が制作。13号車の現代アートに直接触れることができるキッズスペースは林泰彦と中野裕介によるアートユニット、paramodelが担当。子供たちが自由に楽しめるプラレールが置かれ、青と白を基調とした壁面にはプラレールをモチーフにしたインスタレーションを設置。そして、同じく13号車には本格的なカフェが併設。
古武家賢太郎による上越の風景が描かれた色鉛筆画と共に、いがらしろみが監修した魚沼産米粉のバニラケーキ、佐渡バターフィナンシェ、佐渡クリームチーズのレモンケーキなど地元の素材にこだわったスイーツや新潟・燕三条で人気の「ツバメコーヒー」監修のコーヒーを提供している。14号車には写真家・石川直樹が新潟で撮影した「潟と里山」の写真作品が展示され、ゆったりとしたソファーに座りながら鑑賞できる。15号車には荒神明香による造花を用いた全長11mのインスタレーション「reflectwo」を設置。まっすぐに伸びたカラフルな花びらの水平線が繋がって見え、乗客を楽しませてくれる。最後の16号車はブライアン・アルフレッドによる新潟をモチーフにした15分間のアニメーション。新潟の地形、土地の豊かさなどを5つの液晶画面を使い表現している。
「現美新幹線」
上越新幹線(越後湯沢、浦佐、長岡、燕三条、新潟)
席数は全107席(カフェ除く) うち 指定席23席。
www.jreast.co.jp/genbi
アーティスト
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EXTERIOR_蜷川実花 / 写真家・映画監督
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11号車_松本尚 / アーティスト
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12号車_小牟田悠介 / アーティスト
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13号車_Paramodel / アーティスト
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13号車_古武家賢太郎 / アーティスト
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14号車_石川直樹 / 写真家
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15号車_荒神明香 / アーティスト
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16号車_ブライアン アルフレッド / アーティスト
クリエイティブメンバー
総合プロデュース : TRANSIT GENERAL OFFICE INC. 中村貞裕・岡田光 グラフィックデザイン : 鈴木直之 (DIAGRAM)
アートキュレーション : SCAI THE BATHHOUSE / MAHO KUBOTA GALLERY ペストリーディレクション : いがらしろみ (Maison romi-unie) コーヒーディレクション : ツバメコーヒー