——『What For?』がバンドサウンドに寄ったのもそういう影響があるんですか? T「それも理由のひとつではあるね。あとは、友だちと一緒にツアーを回りたいと思ったのも大きいね。長らく3ピースでエレクトロニックミュージックをプレイしていたんだけど、それは完全に自分がやりたいライヴではなかったから。それで『What For?』はバンドのために曲を書き始めたんだ。ドラムブレイクがあるような曲をね」
ショウ「俺らのバンドの曲は俺とギターが中心に作っているんだけど、ひとりで曲を作っているときの充実感がすごくあって。バンドでセッションすることも大好きだけど、自分のやりたいことを100%反映できるデモを作るときの楽しさも特別だなと思います」
T「僕もまずはひとりでデモを作る過程を楽しんでる。そのほうが結果的にまとまりのある作品を作ることができると思うしね。たとえば厨房にシェフが何人もいたら統一感のある作品ができにくいとは思わない?」
ショウ「そう思う。あなたは、今はバンドと一緒にプレイしてるけど、これまではすべての楽器を自分でプレイしてレコーディングしてきたじゃないですか。正直、たまに俺もひとりで作品を作りたくなることもあって(笑)」
T「ライヴではバンドでプレイしているけど、『What For?』も大部分は僕が自分でプレイしてるんだ。ドラマーが4曲くらいプレイしてくれてるだけで、あとは全部自分でプレイしてる。だから、今もひとりで作業することは大好きだよ」
ショウ「なるほど、バンドでツアーをするために作ったアルバムではあるけど、ほとんどひとりで作ったんですね(笑)」
T「そうそう(笑)」
ショウ「俺はまだまだバンドでやるべきことが尽きなさそうなんだけど、隣の芝生は青く見えるというか、たまにひとりで音楽を作るのもおもしろそうだなと思うことはある」
——2014年にはレ・シンズ名義でダンスミュージックに特化した作品をリリースしましたけど、それはトロ・イ・モワの音楽的なアプローチと差別化したかったからですか? T「そう。いろんな人がトロ・イ・モワのことを“DJ”って呼び始めたときがあって。だから、『違う、違う! トロ・イ・モワはエレクトロ以外の音楽も作るんだ!』って言いたくて。それでDJっぽいダンスミュージックに特化したレ・シンズをやることにしたんだよね。いまだにエレクトロミュージックを作るのは好きだし、それはそれで楽しみたいと思って。そのなかにハウスやヒップホップ、アンビエントなサウンドを取り入れたりね。だから、レ・シンズをたとえるなら“曲”ではないすべてのサウンドをアウトプットするプロジェクトかな」
ショウ「なるほど。アウトプットするプロジェクトがいくつかあるのはいいですね」
T「だろ? そっちのほうがプレッシャーもないし」
ショウ「レ・シンズのアプローチも大好きです」
T「ありがとう」
ショウ「それもトロ・イ・モワがあるからこそできるプロジェクトなんだろうし。羨ましい(笑)。俺もソロプロジェクト挑戦してみたいな」
T「やっちゃいなよ!(笑)。