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黒猫チェルシー『グッバイ』インタビュー

 

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──ここ数年、歌詞へのアプローチも以前とは変わってきました?

渡辺「変わりました。変化としては、むしろそこが一番大きいかもしれない。前はどこか、自分が作中のキャラクターを演じるようなスタンスで詞を書いていたんです。でも少しずつ、なりきるんじゃなく、ありのままの自分をさらけだした方がいいと思うようになってきた。『グッバイ』の語り手なんて、自分でも照れちゃうくらい僕そのものです(笑)」

──あ、やっぱりそうなんだ(笑)。

渡辺「もちろん日記とは違うので、実体験をそのまま歌詞に反映させてるわけじゃないですけど。でも、自分のなかにある弱さとかダメな部分は、けっこう生々しく出ている気がする。そういう人の弱さとかダメな部分が、3人の演奏と出会ったときに生まれるケミストリー。それが黒猫チェルシーの個性と違うのかなって。去年、『モーターズ』という映画を監督させてもらう機会があって。約1年かけて脚本を書くなかで、多少自信が付いた部分もありました。フィクションを通じても十分、自分の生っぽい部分は語れるんだという」

──なるほど。そう考えるとやはり、音楽以外の活動がソングライティングに寄与してる部分は大きいんですね。

渡辺「直接的に役立ってるかどうか自分ではわからないけれど……でも影響は確実にあると思います。前はとにかく、自分の思いを100%詰め込もうと必死だったんですね。でも最近は、メロディーの持っている効果を最大限引き出すことをまず考えるようになった。1回聴いただけでもすっと頭に浮かぶよう、できるだけシンプルな言葉を選びつつ……でも、1人ひとりの聴き手が想像を膨らませられるような広がりを持たせられればいいなと」

──そういえば「グッバイ」のMV、竹内鉄郎さんが監督されてるんですね。渡辺さん演じるキャラクターが女の子にひたすら平手打ちされ、ダメ出しをされる映像が強烈でした(笑)。

渡辺「失恋100本ノックですよね。あの映像では、実は澤も演技してるんですよ。陸橋の上で女の子を奪っていくチャラい男の役で」

「ホストっぽい衣装で、人生初のカツラつけました。プレイボーイっぽい設定で、監督からは『走ってきた女性の腰に、バッと手を回してください』って言われたんですけど…」

渡辺「現場で見てたけど、めっちゃ照れてたよな(笑)」

「そら照れるよ。だって、さっき会ったばっかりの子なんやもん。いやぁ、役者さんってすごいなって思いました」

渡辺「鉄郎さんはこれまでずっとウルフルズやスピッツのMVを手がけてこられた方で。メンバー全員、大ファンだったんです。CDジャケットは写真家の佐内正史さんで、アートディレクションはデザイナーの祖父江慎さん。3人ともクリエイターとして超一流の方ですが、今の黒猫チェルシーにはぴったりだと勝手に思っていて。ダメモトでお願いしたら、意外にすんなり引き受けていただけたという(笑)。その意味で今回のCDは、文字どおり隅から隅まで自分たちの好きな方に手伝ってもらえた。それは最高に嬉しかったです」

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