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黒猫チェルシー『グッバイ』インタビュー

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──改めて自分たちの原点を見つめ返してみて、黒猫チェルシーというバンドの「一番美味しい部分」ってどこだと思います?

「やっぱり……土着的なところじゃないですかね。シンプルなロックを演奏しても、どっかブルースっぽい匂いがするというか。ギターの演奏でいうと、フレージングについついコブシを利かせてしまったり」

渡辺「よく指摘されるけど、年齢のわりに泥臭いねんな(笑)」

宮田「まぁ、十代の頃から洋楽のブルースロックとかハードロックのカバーをずっとやってきた仲間なんで。そのクセはどうしても抜けない。この数年間、ライブの本数を重ね、バンドとしての一体感を実感すればするほど、そういう地肌の部分が強く出てくる感覚はありましたね」

「昔はけっこうコンプレックスやったんですよ。たまに『若いのに音がオッサンくさい』って言われたりするのが。でも、今さら僕らが流行りのシティ・ポップスを真似しても仕方ないし。最近はむしろ、その泥臭さこそ強みなだと思えるようになりました。ただ、僕も啓ちゃんもガッちゃんも昔からブルースロックが好きやけど、ジミヘンとかツェッペリンのコピーがやりたかったかというとそれは違うんですよ。フレッシュな音楽を創りたいという気持ちは基本ずっと変わらない」

岡本「それは『グッバイ』にも言えると思います。もし仮に僕ら3人の演奏がオッサンくさかったとしても(笑)、渡辺のフォークっぽい歌い方が乗ることで全然違う風景を見せられるし。そういう声とグルーヴの異質な組み合わせこそ、黒猫チェルシーの個性だと思うんですね。その良さをちゃんと出そうというのも、今回のレコーディングでけっこう大きなテーマだったよね」

渡辺「うん。メジャーデビュー後しばらく、僕の方にも『もっとロックっぽく歌わなアカン』って気持ちもあったけど、もはや完全に消えた(笑)」

宮田「さっきも言ったけど、ここ数年、渡辺が役者としてどんどん活躍の場を広げていったのも良かったと思うんですよ。NHKの朝ドラとかいろんなCMで顔を見るようになって、僕ら3人もまた『世間の人が見ている渡辺大知像』を客観的に眺められるようになったので」

渡辺「あ、そうなん?」

宮田「うん(笑)。サウンド面で原点を見つめ直すのとまったく同じ意味で、詞とか歌い方の部分では、渡辺の人となりがそのまま出てた方がいいんと違うかなと。変なロックっぽさにこだわりより、ずっとね。特に『グッバイ』は、その傾向が強く出ているような気がします。メロディーもちょっと和風というか、昔の歌謡曲っぽいテイストもあったりするし…」

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