みなさんは石巻という場所に行ったことはありますか? 誰もが一度は耳にしたことがあるであろう地名・石巻は、5年前に発生した東日本大震災で大きな被害を受けながらも、少しずつ、そして着実に復興への道を歩んでいる街です。
宮城県の東部に位置するこの石巻には、世界三大漁場のひとつである三陸・金華山沖があり、美味しい魚が獲れる場所として世界的にも知られています。なぜこの金華山沖が世界三大漁場に選ばれているのか? それは、親潮(寒流)と黒潮(暖流)がぶつかる潮目であることに加えて、独特な沿岸の地形であるリアス式海岸は魚介類が住み処とするのに絶好の場所であることが理由。「東北のお魚が美味しい」と言われる所以は、このすばらしい環境にあるんです。
そんな石巻の魚のおいしさを、日本人のソウルフードであるお寿司で堪能できるイベントが、去る3月11日に東京・代々木の代々木ビレッジ code kurkkuで開かれました。この日限りで開店した「泳ぎ寿司 石巻」は、金華山沖で獲れた新鮮な魚を、現地の寿司職人が実際に握り、振る舞うという特別な場所。メニューは身の締りがよく脂がのった「金華さば」、稚魚を海のいけすに放ち10ヶ月かけて育てた鮭「金華ぎん」、そして甘みが強くやわらかい「やりいか」の3種です。
この「泳ぎ寿司 石巻」は、そんな「金華ブランド」の魚を堪能できるだけでなく、実はちょっとしたユニークな仕掛けが施されています。カウンターに着席すると、早速職人の手によって握られたお寿司が登場しました。ところがこのお寿司、よくみると……
なんと、お寿司が“いか”の形をしているんです。ゆらゆらと泳ぐいかの影が浮かび上がったお寿司に手を伸ばして、一口。やわらかいやりいかを味わっていると、さらにビックリ!
なんと寿司下駄からいかが泳ぎ始めました。泳ぎ始めた魚は前方のスクリーンに向かって泳いでいき、この美味しい金華さばがどのように誕生したのか、アニメーションを通して知ることができます。
意外と知られていないことかもしれませんが、金華山沖の魚が水揚げされる市場は「新・石巻魚市場」と言って、2015年9月に完成したばかり。実は国内最大級で、かつ最新設備を備えた市場なんだそうです。また、石巻で獲れた魚は、東北大学と共同開発した放射能検査機によって検査されているのだとか。安全性を“見える化”することで、誰もが石巻の魚の美味しさを心から堪能できるようになっています。
当日会場に来ていた石巻市役所産業部商工課の三浦志保さんは「街としての復興はまだまだこれからですが、こうして石巻の美味しい食材を食べていただくことが、石巻の街の人の元気につながります」と話していました。石巻の美味しいお寿司と驚きのプロジェクションマッピングによる演出で、舌でも目でも石巻を楽しむことができた、「泳ぎ寿司 石巻」。次は現地で石巻の魚を堪能したくなる、そんなイベントでした。
■泳ぎ寿司 石巻
http://theswimmingsushi.com/