——当時の東京のカルチャーシーンはどんな感じだったんですか?
藤原「上京したのは82年とかで、DCブームだったんですよ。でも、僕はパンクだったりロンドンのカルチャーが好きで。周りは、女の子はPINK HOUSE、男の子はMEN’S BIGIみたいな感じでした」
——当然、パンクスの藤原さんは浮きますよね?
藤原「まあ、ちょっとは同じようなファッションの人はいましたけどね。東京には地元の伊勢よりはそういうコミュニティがちゃんとあるから、すごく楽しかった。今だったらネットをきっかけに友だちができたりコミュニティに入ったりするのかもしれないけど、当時はその場所に行かないと何も始まらなくて」
——現場に行かないと。
藤原「そうそう」
宮本「その時代が羨ましいとも思いますね。当時のカルチャーはちゃんとバックグラウンドがあるような気がするんですよね。今の時代のファッションもまた20年後にリバイバルしたりするのかもしれないですけど……どうなんですかね」
藤原「今はファッションの傾向でもバーッと広がるスピードが速いですよね」
宮本「速いと思います。昔はもっとじっくりムーヴメントも広がっていったのかなって。70年代のヒッピーの写真とか見ても楽しそうだなって思う。たとえば今流行ってるブランド名を20年後に出したときにそのとき私たちは懐かしんだりするのかなって」
藤原「その懐かしさはあるんじゃないかな」
——藤原さんにとって今の東京はおもしろいですか?
藤原「おもしろいですよ。居心地がいいし」
——その居心地のよさはずっと変わってないですか?
藤原「変わらないですね。ただ、世界中のトレンドとの差がない感じはしますよね。そこはあんまりおもしろくないかも。昔はロンドンやニューヨークに行くのが楽しみで。今はニューヨークに行っても原宿に同じモノが売ってあったりするし。その違いはありますよね。原宿でニューヨークと同じモノを買えるよさもあるとは思うんですけどね。あと、変わらないなと思うのは、東京って世界的な情報とかを気にせずにいろんなものを集められる街だと思うんですよね」
——それを独自にエディットしたり。
藤原「そう。ファッションにしても、中国みたいに単なる偽物を作るんじゃなくて、リスペクトを込めてオマージュすることが許されてる街だと思う。なおかつ良質なモノを作るから」