日本映画を代表する役者陣との化学反応
——————どの出演者も本気で温人にぶつかってきて、そのグラディエーションにも非常に心掴まれました。今回共演されて思わず入り込んでしまったという場面はありますか?
中村 「思わず、といえばやっぱりお兄ちゃん役の新井(浩文)さんとのシーンですかね。男二人だけの兄弟ってところの空気感とか、新井さんがこう、心の扉を開いてそこにいてくれた、といった感じが嬉しかったです。やりとりしている中で自ずと滲み出てくる、なんとも言えない雰囲気がありましたね。僕、男兄弟の話ってすごく好きなんですよ。だから新井さんと二人でその関係性を築けたのは本当に贅沢だなあって。残さず汁まで飲んでやるという気持ちで撮影してました」
——————菅田将暉さんとの取っ組み合いの喧嘩のシーンも鮮烈でした。どれくらいの本気度で?
中村 「思った以上に菅田がガチでしたね(笑)。プラットフォームの地面に後頭部をガンガンやられましたからね。そういった意味では年下の俳優が思いっきりやれたことが僕は嬉しかったですし、そんな信頼関係をこれまで築き上げて来られたのかなと。大好きな俳優ですし。痛かったけど(笑)。」
——————カットかかった瞬間に菅田さんは「すみません、本気でやっちゃいました!」とか言わなかったですか?
中村 「言わないです(笑)。そんなこと言うくらいなら最初からやんないですよ、彼は」