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OKAMOTO’Sのアドレス帳 Vol.10 吉澤嘉代子×ハマ・オカモト

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——子どもながらに子どもである自分に落ち込むという(笑)。

吉澤「幼稚園のころなんであたりまえなんですけどね(笑)」

ハマ「ものすごく子どもですよね(笑)」

吉澤「でも、自分は大人だと思ってたんですよ」

ハマ「それで『こんな声じゃダメだ!』と思ったんだ」

吉澤「そうなんですよ。あと、私の父が井上陽水さんのものまねをずっとしていて。歌う人が近くにいた影響もあると思いますね」

ハマ「お父さんが陽水さんのものまねをずっとやってるんですか?(笑)」

吉澤「30年以上やってますね」

ハマ「セミプロじゃないですか(笑)」

吉澤「カツラとサングラスを常備してます(笑)」

ハマ「本気だ(笑)」

吉澤「陽水さんがテレビに出てると『俺のほうが似てる』とか言うんですよ。病的ですよね(笑)」

ハマ「なんですか、そのパラレルワールド的な発言は(笑)」

吉澤「小さいころからそんな父と一緒に親戚の前で余興みたいなことをしていたから、ショーに対する興味も自然と生まれたのかもしれないですね」

ハマ「レコーディングやライヴのメンバーも吉澤さんの要望で決まることが多いんですか?」

吉澤「そうですね。最初はミュージシャンの方を全然知らなかったんですけど、作品を重ねるうちに『この人と一緒にやりたい!』という欲がどんどん出てきて」

ハマ「この前のツアーもドラムが神谷(洵平)くんで、ベースがShigeさんで、キーボードが伊澤(一葉)さんだったりして」

——ハマくんと近しい関係性のミュージシャンが多い。

ハマ「近しいし、それも必然的に思えるんです。僕は女性アーティストの作品に参加しているミュージシャンのクレジットを読むのが好きで。椎名林檎さんをはじめ、カースケさん(河村知康)が様々な女性アーティストの作品に参加しているので、『カースケさんって何人いるんだろう?』と学生時代に思っていたくらいで(笑)」

——吉澤さんの作品やライヴには錚々たる凄腕の男性ミュージシャンが数多く参加してますよね。

吉澤「そうですね。デビューしたばかりのころはどうしたらいいかわからなかったんですけど。だんだんみなさんとコミュニケーションをとれるようになってきて、自分の意見を伝えられるようになってきました。神谷さんのホームパーティーに誘ってもらったり、みんなでご飯を食べたりして距離が近くなっていったんですよね。この前のツアーに関しては、伊澤さんが私の考えをすごく尊重してくださって。自分のなかでまた新しい感覚が芽生えた実感がありましたね」

——吉澤さんはご自身で作詞作曲しますけど、贅沢にレコーディングしている感じが歌謡曲の構造と通じる部分もあるのかなと思います。

吉澤「そうかもしれないですね。私はいわゆるシンガーソングライターの方に影響を受けたことがなくて。特に歌詞の面で」

ハマ「専業の作詞家さんの影響のほうが強いんですよね?」

吉澤「そうですね。松本隆さんの歌詞に一番憧れていて。松本さんの歌詞は、少ない言葉数でひとつの世界が凝縮されているなと思うんですよね」

ハマ「初めてお会いしたときもその話を少しさせてもらって。松本隆チルドレン感を感じるという話をしたら、ドンズバで好きということがわかって。僕も母が原田真二さんのファンで、松本隆さんが作詞している初期の楽曲を小さいころにクルマのなかでよく聴いていたんです」

吉澤「私も同じです」

ハマ「お母さんが原田さんのファンなんですか?」

吉澤「そうなんですよ」

ハマ「お互いの親の世代的にも通じる部分が多いんでしょうね。松本さんの歌詞は、子どもだから言葉の意味はすべて理解できなかったけど――大人でも意味がわからない造語もあるし(笑)。でも、描かれている景色を感じることができたんです。そこで想像する余地というものがこの歌詞にはあるということも感じることができた。僕らの世代は、もちろん松本隆さんのスタイルを超えることはできないと思うんですけど、その歌詞の空気感や温度を受け継ごうとしている人がいるというのは、とても素敵なことだと思っていて。吉澤さんのニューアルバム(『東京絶景』)の楽曲もタイトルからパンチが効いてる曲が多いですよね。『ガリ』や『ジャイアン』だったり(笑)」

吉澤「聴いてくれたんですね。ありがとうございます」

ハマ「いい意味での気持ち悪さというか、中毒性がある。『ガリ』というタイトルだけがひとり歩きするとコミカルになりすぎるきらいがあるけど、そうさせない音楽的な魅力があるので」

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