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藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」 #26 経皮毒

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そんなものだから、ある日、ふと石鹸をやめてみようと思い立ったのだ。やめてみたのは石鹸だけではない。歯磨き粉、シャンプー、リンス、など、体を清潔に保つために必須と信じられている物を中断してみたのだ。
以来数年間、私はそれを再び手にすることは滅多にない。シャンプー、リンス、などの洗髪溶剤、歯磨き粉は完全に断ち切り、どうしても落ちない手の汚れ(マジックのインクなど)がある時のみ石鹸を使う。
体を洗う時は、お湯とスポンジのみ。それで十分に汚れや不要な油分は除けている実感はあるし、匂いもない。そもそも、匂いというのは食生活との兼ね合いが原因となっていることが多いので、(羊肉を食べれば羊の匂いが体臭となるように)汚れとして匂いがきついということは実は少ない。個人差はあれど、老廃物の匂いというのは拭けば除けるほどのものだ。
かの福山雅治さんは、デリケートゾーンすらもお湯とスポンジだけで問題ないと言っている。これは彼の身体が異常にもとから清潔で、汚れることがない、というわけでは勿論なく、そういうものなのだ。卑近な例で言えば、私もそれで事足りている。
そもそも人間に限らず生物は自浄能力がある。皮膚を乾燥から守るために必要な油分が分泌されているのを、脱脂力が強い石鹸で洗い切り、無くなった油分を補うために、わざわざオイルや保湿剤を塗っているという不思議なことをしているのだ。そのオイルや保湿剤には体に有害な界面活性剤、湿潤剤が含まれている製品も多い。本来体のバリアーとなってくれている油分をわざわざ取り除いて、無防備となった皮膚に有害なものを塗った結果、肌荒れの原因になることが多い。コラーゲンやアルロン酸などの皮膚を健康に保つ成分は、実は分子が大き過ぎて皮膚から浸透することなく、表面に残ってしまう。
なので、よくよく知識を得てからでないと、お金と時間の無駄にもなる。
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