アヴちゃん「私たちはよく行っていたラーメン屋さんがあるんですけど、ラーメンが280円だったんです。今はちょっと値上がりして300円になりましたけど」
浦風冨道「お、チェックしなきゃ」
アヴちゃん「チェックしなくていいです。安い理由は、ぬるくて麺がのびてるからなんです（笑）」
浦風冨道「ええーっ！」
アヴちゃん「すごい適当なんだけど、面白くて（笑）。ライブハウスにいく途中にあって、人には全くオススメはしないんだけど、私たちは神戸に帰るとあの頃のルーツを確かめに行くんです」
浦風冨道「それは名言ですね。地元食ってそういうものですよね。思い入れがあるものなんですけど、人にオススメするものではなく、確かめに行くっていう。でもなおさら行ってみたいな。はい、とろろと枝豆の冷製スープきましたよ」
アヴちゃん「とろろ大好き。枝豆も大好き！」
浦風冨道「ハムカツ、メンチカツもどうぞ。あまり切っちゃうと汁が出ちゃうんで、口に入れてじわじわしてください」
アヴちゃん「おいしい！ レバーも鼻血出るまで食べ続けるくらい大好きですなんですけど（笑）、普段はあまりお肉食べないんです。魚は軽いからいいんですけど、肉は重いから美味しくないものを食べちゃうときついから。美味しいお肉は別ですけどね」
浦風冨道「ところで、アヴちゃんが音楽に目覚めたきっかけは何だったの？ この曲好きかも、とか」
アヴちゃん「私、目覚めてるのかなあ……？ 未だに目覚めてないような。休止して初めて俯瞰で見れた気がする。それまではもう頑張るんだとか、逃げちゃ駄目だとか、皆を連れて行かないととか、そういう切迫感があってそれがよかった。その中でもPerfumeが好きだったりとかKING BROTHERSとかいろんなバンドと対バンして大好きになったり色々あったけど、目覚めるという感じではなくて。でも最近やっぱりフジ子・ヘミングがいいなあとか」
浦風冨道「いいなあ！」
アヴちゃん「獄門島のSEはフジ子・ヘミングなんです。ローリン・ヒルいいなあとか、それこそ（中村）達也ちゃんのやってる音楽を聴いたりとか、やっと今音楽関係に携わってきたなあって感じがします（笑）」
浦風冨道「さっきはザ・ピーナッツの“恋のロンド”が好きとか言ってたけど、ああいうのってどうやって知ったのかなって」
アヴちゃん「神戸の音楽シーンには古今東の西面白い音楽を知っている人がいて、ライブの後の５分くらいの会話の中で、『あんた、これ好きやと思うで』とか言われたりして。そういう覚えてもないようなところでいろんな情報を皆が出し合ってて、特異な現場やったと思います。そこで私も情報を出したり、もらったりして。敷島さんはバンドやってたんですか？」
浦風冨道「いや、俺は母親がスナックをやってて、そこのジュークボックスが大きいですね。スナックにはいろんな人が働いてて、女装してる人もいれば指のない人もいたんですけど、母親から小さい頃から世間にはいろんな人がいるというのを教えられていて。だからそういういろんな人がいるのが当たり前で、それが個性だから面白いの。だからちょっと変わった小学生だったかもしれないですね。周りの小学生との温度差が激しかった」
アヴちゃん「素晴らしい。私とは真逆の環境ですね。うちも母親は最強ですけど、周りはね。あの街で、面白くてちょっと小綺麗でバンドやってる子って目立つから、まあ語るほどもないような面白いトピックは色々あります」
浦風冨道「それは周りがかぶせちゃうからいけないんですよ。理解するような形で広げていかないと。昔はよっぽど理解ある人たち以外はすごく閉鎖的でね。今はどんどんわかってきてるからいい空気感でいろんな個性が強い人が出てきてるけど、その中でもアヴちゃんの輝き方は尋常じゃないです」
アヴちゃん「ありがとうございます。私は奇をてらったりとか、社会に迎合するのが嫌でバンド組んだから。一方通行したくてバンド組んだんだなって。ライブはファンの子とコネクトするけど、極端な話、曲はわかってもらえなくてもいいんです。でも例えば不安や悩んでる作り手を見たら不安になるけど、頑張ってる人を見ると頑張ろうって思えるんだなって。ファンからのお手紙を見てるとそう思うから、私はわかってもらえなくてもいいから頑張ろうって」
浦風冨道「なるほどなあ。アヴちゃんはいろんな業を全部受け止めて背負って、それを全部浄化している気がする」
アヴちゃん「ああ、でもそれ言われます。業の子、業の女って」
