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藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」#25 富山発熱

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新年、あけましておめでとうございます。
年末年始は、体調を崩された人も多いかと思います。1年分の疲れやら、年末の追い込み不摂生のつけやらで、寝込むことが多い季節。かく言う私も、北陸富山の地で発熱中で、旨い酒や肴をいただく気にもなれずに、一人ホテルのベッドにぐったりしながら、この原稿を書いている始末です。
この連載もここから三年目に入りました。つまり今まで24回もヒーリングについて考え語ったことになるのに、そんな私でも普通に体調を壊すのです。体調ばかりか気分だって落ちる時もあります。
熱発した今朝は、那覇空港に行くのをかなり本気で躊躇いましたが、えいやあと乗りました。飛行機に。でもやはり気合は長持ちせずに、すぐに萎れ、イカのようにシートでぐったりしてました。
羽田に到着すると、京急乗り場に行く途中にある卵屋さんで、いつも通り、たまごかけご飯をいただき、第二ターミナルにバス移動してからANAに乗って、富山へ向かったのでした。
羽田での接続の待ち時間は、身に堪える3時間。体温こそたいしたことがなかったけれど、実感的な辛さは、39度。その接続時間を巧みに使ってこの新月譚に果敢にも取り掛かったのだが、ぼうっとしてしまい、8枚も書いたのにボツにした。採水地北杜市のいろはすをぐびぐび飲みながらも、なんとか頑張ったが、今日はそういう日なんだね、と一人合点し、ひとまず後ほど〜とマックブックプロ13インチをパタンと閉じた。
羽田から飛び立ったANAの機体は、東京上空を何かのアトラクションのようにぐるりと旋回して見せてくれた。澄んだ空気が張り詰める冬の東京を上空から眺めると、思ったよりもずっと小さい町に東京が見えて、いつも少しだけ愛おしくなる。なぜなら、東京は私にいろいろ手取り足取り教えてくれた場所だから。東京は本当はちっさいんだよ。それを冬は教えてくれる。そこにいっぱいの人が肌や思いを寄せたり、パンプスで殴り合ったりしながら暮らしている。
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