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一十三十一&弓削匠『THE MEMORY HOTEL』インタビュー

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「Labyrinth~風の街で~」がMVになった理由

ーージャケット写真の撮影は早朝ですか? 

一十三十一「そうです。夜明けですね」

ーーまた過酷な(笑)

一十三十一「(笑)でも過ごしやすい気候だったし、これまでの作品に比べたら撮影自体はそんなに過酷でもなかったです。音楽面でもビジュアル面でも、始まってからはスムースでしたね。新しいテーマだったということもあって、そこに至るまではいろいろとありましたが」

ーージャケットの衣裳に関してはお二人で話し合って決めるんですか?

弓削「衣裳については、僕から提案して進めます。今回は『Wの悲劇』だとか『メイン・テーマ』だとかに出てきそうな感じっていうので、関連しそうなものはいろいろ見ましたね。曲もたくさん聴いたし」

ーーそういうものを見直したり聴き直すなかで、影響があったものというと。

弓削「『Wの悲劇』と、村上春樹の『ダンス・ダンス・ダンス』ですかね。『Wの悲劇』は薬師丸ひろ子の「Woman “Wの悲劇”より」を何度も聴きましたね。今回MVを制作するんだったらバラードでお願いしますとリクエストを出したのも、そういったところからです。最近だとバラードでMVってあんまりないじゃないですか。今まではアップテンポな曲をMVにしていたんですけど、今回はバラードで世界観を表現するのがいいんじゃないか、と提案して『Labyrinth~風の街で~』のMVを制作することになったんです」

一十三十一「わたし、バラードをMVにしたのこれが初めてです!」

ーーそうですか! これまで、コンセプトやストーリーを伺ってきましたが、サウンド面での変化はどうでしょう?

 一十三十一「テーマやストーリーを制作陣に渡したら、ポエティックなイメージを受け取った人が多かったようで、それが印象的なメロディにつながっていると思います。哀愁感がメロディに出ているというか」

ーーボーカルにもうっすら膜がかかっているというか、輪郭が滲んでいるような印象がありました。

 一十三十一「それはミステリアス・フィルターがかかってますね。わたしも脚本からそういう気持ちが入っていたし。なにしろ記憶を失くしている設定ですからね(笑)」

ーーところで、このコンビでやりだしてどのくらい経ちましたっけ?

一十三十一「2012年からですね」

ーーその年月を経て、改めてお互いの印象の変化とか、仕事のやり方の変化はありますか?

一十三十一「仕事のやり方……(笑)。とくに変わってないですね」

 

弓削「変わってないんですけど、3年やってきてるわけじゃないですか。そうなってくると僕のなかの一十三十一像っていうのが出来上がってきますよね。それは制作陣やまわりのミュージシャン、リスナーもそうだと思うんです。同じイメージを作ってきていたんで。でもなにかここで最初のインパクトというか、『CITY DIVE』が出た頃の衝撃みたいなものを取り戻したいなとは考えていました。そのためには、視覚でも聴覚でもなにか本当に変化がないとダメなんじゃないかという風に思ってましたね。それはこのアルバムを制作する初期の段階から一十三ちゃんはもちろん、制作陣にも伝えていました」

ーー一十三さんはどうですか? 弓削さんの印象。

一十三十一「初めの頃から変わらないですねー。例えばMVの撮影に向かう道すがらのコンビニとかで「あ、一十三ちゃん、今日の衣裳、シーツ」みたいなことを突然言うわけです(笑)。そういう無茶ぶりみたいなのは昔っから毎回あるんです。で、わたしも「はぁ~そっか~……」ってなるんですけど、それを越えて、常に新しいものに挑みつつ、納得のいくものをこれからも作っていきたいですね」

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取材・文 青野賢一 /interview & text  Kenichi Aono

企画・編集 桑原亮子/puroduce &Ryoko Kuwabahra

 

 

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一十三十一

『THE MEMORY HOTEL』

発売中

(Billboad Records)

http://www.amazon.co.jp/THE-MEMORY-HOTEL-一十三十一/dp/B013TPOTUO 

http://tower.jp/item/3992147/THE-MEMORY-HOTEL

https://itunes.apple.com/jp/album/the-memory-hotel/id1043431781 

 

 

一十三十一

札幌出身。2002年「煙色の恋人達」でデビュー。“媚薬系”とも評されるエアリーでコケティッシュなヴォーカルでアーバンなポップスを展開。リード ヴォーカルをつとめるネオ・ドゥーワップバンド「JINATANA & EMERALDS」1stアルバム『Destiny』が、MUSIC MAGAZINE誌“ベストアルバム2014 J-POP/歌謡曲部門” の1位に選ばれる。またCM音楽やナレーションなど様々なフィールドで活躍中。Billboard Recordsより、フルアルバム『CITY DIVE』『Surfbank Social Club』『Snowbank Social Club』、ミニアルバム『Pacific High / Aleutian Low』、邦楽カヴァーアルバム『YOUR TIME route 1』をリリース。

 

弓削匠
デザイナー、アートディレクター。1974年生まれ、東京都出身。2000年、アパレルブランドYugeをスタート。アパレルデザインだけでなく、ミュージシャンのアートディレクションも担当。アートディレクターとしても注目を集めている。
http://www.yuge.cc

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