Salyu「うれしい。あのとき初めてタイでライブをしたんだけど、お客さんも喜んでくれて強いアプローズを返してくれたのがうれしくて。で、ステージを降りてすぐにタムくんが『すごいよかった〜!』って言ってくれたんだよね」
タム「『すごいよかった〜!』では足りないくらいよかったよ」
Salyu「言葉は具体的に『すごいよかった〜!』ではなかったと思うけど、ずっと胸に手を当てて気持ちを伝えてくれて。初めてのタイだったからやっぱり不安もあったんだけど、お客さんやタムくんの反応に触れて、心が安心したんだよね」
タム「こんな感じだったよ(と、言ってiPhoneに表示された『グラップラー刃牙』の刃牙が驚いた表情をしている画像をSalyuに見せる)」
Salyu「あはははは! あ、そうだ! 『Big Mountain Music Festival』で私たちが最後に歌った『続きを』という曲の歌詞をタムくんがタイ語に訳して、それをスクリーンに映してくれたんだよね!」
タム「そう、『Big Mountain Music Festival』のオーガナイズや照明をやってるチームのジロウ(遠藤治郎)に『この曲は地震(東日本大震災)のときの気持ちも入ってるから、タイ人も歌詞がわかったほうがいいと思う』ってライブ前に言われたの。で、ノートにタイ語に訳した歌詞を書いて、それをジロウがその場でスクリーンに映したんだよね」
Salyu「あ、リアルタイムで映してくれていたんだ。それは初めて知った。『続きを』は大震災の前に作った曲なのね。アルバムのリリースも震災直後に予定されていたんだけど、少しだけ延期をして。でも、結果的に『続きを』という曲は大震災後の日本に対する意味が生まれたし、あの曲の歌詞をタムくんがタイのオーディエンスに伝えてくれたことはとてもありがたかったです」
タム「salyu × salyuの曲とは知らずに歌詞を訳して、ライブを観に行ったら『さっき僕が書いた歌詞じゃん!』ってなって(笑)。(オーディエンスが)みんなちゃんと歌詞を読んでくれていたからよかった」
——2回目に会ったのは?
Salyu「2回目もタイなんですよ。『Big Mountain Music Festival』の翌年ですね。タイガービールがスポンサーのイベントに小山田(圭吾/コーネリアス)さんがキュレーターとして参加して、salyu × salyuとバッファロー・ドーターと青葉市子ちゃんが出演したんです。タムくんはイベントのスペシャルゲストとして参加して」
タム「『Big Mountain Music Festival』のときのsalyu × salyuのライブが人気だったから、日本人のアーティストのイベントをタイでやろうよってなって。僕は普通に遊びに行こうと思ってたんだけど、(主催者に)『タムくんも出てほしい』って言われて、『え〜! みんな神みたいなアーティストばかりだし、すみません』って感じで(笑)」
Salyu「そのときに初めてタムくんのライブを観たんです。アニメーションを流しながら鍵盤やギターを弾いて歌うスタイルのライブを。すごく感動した。私はタムくんの『love elevator』という作品が大好きで。鉛筆で描いたような柔らかい線やかわいらしいタッチで、人間の営みにおける深い愛情を描いていて。素晴らしいなって思った」
タム「ありがとう。照れるね」