——コウキくんはいつかソロ作品を作りたいという思いもありますか?
コウキ「今年に入ってから思うようになりました。ハードルは高いと思いますけど、いつか作れたらいいですね」
志磨「OKAMOTO’Sというバンドの本質を凝縮したアルバムのなかに『ハーフムーン』のような曲が入ってることがいいんだよね」
——OKAMOTO’Sって解散や活動休止をするのが想像できないバンドだと思うんですね。
コウキ「急に解散するかもしれないですけどね(笑)」
志磨「なんの前触れもなく(笑)。マリーズの解散もそう思われただろうし、ドレスコーズが僕ひとりのバンドになるのもね(笑)。音楽性の違いで解散することはOKAMOTO’Sにはないと思うんだけど。でも、本来そんなことはどのバンドにもないはずなんだよ。だけど、いつの間にかバンドの可能性を狭めちゃうんだよね」
コウキ「確かに自分たちはこうあるべきだと縛ってしまう」
——自縄自縛に陥ってしまう。
志磨「そう。バンドが『俺らはこうでしょ!』ってなったときに、そう思わないメンバーがいる、もしくは違うことに興味があるメンバーがいたときに『音楽性の違いにより』という説明になるんだと思うんだけど。でも、OKAMOTO’Sは最初から演奏が上手いから大丈夫なんですよ。途中で上手くなっていくと、『こういうこともできるようになったけど、このバンドではできない』という事態にも陥りやすい。コウキ自身は、途中で自分のなかでプレイヤーとしてグーンと伸びた時期があることを自覚してるみたいなんだけど」
コウキ「そうですね」
志磨「そういう話をこの前もしたんだよね。とにかくハマくんとレイジが上手いからがんばってそれに追いつこうと思ってた時期があったと」
コウキ「はい」
志磨「今回、僕のアルバムに参加してもらって、エンジニアと『コウキ、上手え!』って驚いたんです。ミックスしてるときも『コウキはやっぱりすげえ上手かったね』という話になった」
コウキ「ものすごくうれしいです。僕はもともとパンクが好きなので、上手いプレイヤーってヤだなと思っていて。テクニカルなことなんてしたくないという考え方でした。でも、それは僕の勝手だけど、それによってハマくんやレイジまで下手に思われるのは絶対によくないことだと思って。あるバンドと対バンしたときにものすごく下手な人がいて。そのときに僕は下手でもいいけど、バンドが下手に思われるのはダメだと自覚しました」
志磨「いい話」
コウキ「あとは、表現のレンジが広くなったうえでパンクなアプローチをするのはいいけど、その順番が逆になると意味合いが全く違ってくると思って」
志磨「やっぱりOKAMOTO’Sは脅威の25歳やね」
コウキ「マリーズやドレスコーズはメンバー同士の仲がすごくいい時期はありましたか?」
志磨「毛皮のメンバーは中学から一緒やからOKAMOTO’Sみたいな感じやったかも。毛皮はね、音楽的なことはどうでもよかったのね。あの人たちと一緒にバンドをやればなんでも毛皮のマリーズの活動になるというか。それはCDをリリースするのも解散するのも一緒で。何をやっても『絶対みんなビックリするな!』って思ってた(笑)」
——文化祭で組んだバンドの延長線上のような感覚があったんですかね。
志磨「そうそう、ホントにそういう感じで。でも、それと同時に自分としてはもっと演奏も上手くなって、ちゃんと音楽を表現できる人になりたいとも思ったんですよね。それで、ドレスコーズのメンバーと一緒にやったら絶対すごいミュージシャンになれると思った。そういう環境に身を置いて自分を伸ばそうって。でも、今度は音楽以外のところが難しかった。僕がリーダーとしてどれだけ懐の深さを持てるかっていう……それはショッキングなことで。音楽の才能を突き詰めようと思ったら、結局社会性というか、誰かが困ってるときに『大丈夫?』って声をかけたり、『そんなの気にしなくていいよ』って言えることが大事で」
——誠実なコミュニケーション能力が。
志磨「そうそう。それが僕はすごく下手だったから、バンドを長く維持することができなかった。『結局そこか!って』ガクッとなりましたね(苦笑)。僕はバンドを理想化しすぎてるんですよね。バンドを組んだらこんなことができる、あんなことができるという妄想が強くある。だから、バンドを組む前の中学生みたいな状態がずっと続いてるんです。それで、いろんなことにいちいち落ち込んだりするし、ほぼ恋愛なんですよね。付き合いたての状態をずっと続けたいと思っちゃってる(笑)」
コウキ「でも、解散やメンバーの脱退も含めて、志磨さんの音楽活動は全部成功してると思います。僕らもその魅力に騙されてるというか。志磨さんのどんなところに影響を受けたのかを考えると、言い方は悪いけど、やっぱり騙すことなんです」
志磨「騙されて、ビックリしたいんだよね」
コウキ「そうです。騙すという言い方を変えるなら、ドラマチックな演出をしてるというか。それは自分の音楽観に大きく影響しています」
志磨「一般的な物差しでは人に怒られるようなことをやってしまうのが、音楽やロックバンドの一番楽しいところだって思うんですよね。たとえばハウリン・ウルフとか、きれいなものだけをよしとするなら、あの人は歌うべきじゃないんだけど、それがよしとされることが音楽の素晴らしさだと思う。バンドが解散することだって、いいことのはずはないんだけど、セックス・ピストルズの破滅的な散り方もカッコいいと思える。でも、今はそういう価値観が音楽のなかでもどんどんよしとされなくなってる気がするんですよね」
——ロマンが排除されてる。
志磨「『そんなことやっちゃダメでしょ!?』みたいな風潮を強く感じる」
コウキ「確かに。音楽はよしとされないことを合法的にできる仕事だと思います」
志磨「物を壊して褒められるのってバンドマンくらいだよ!」
コウキ「そうですよね。だから、僕らも今の風潮に抵抗したいんです。それによって負けたり、損をしたりすることがあっても」
志磨「そうだね。僕もそう」
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志磨遼平(ドレスコーズ)
毛皮のマリーズのボーカルとして2011年まで活動、翌2012年1月1日にドレスコーズ結成。同年7月にシングル「Trash」(映画「苦役列車」主題歌)でデビュー。12月に1stアルバム「the dresscodes」、2013年8月に2ndシングル「トートロジー」(フジテレビ系アニメ「トリコ」エンディング主題歌)、同年11月に2ndアルバム「バンド・デシネ」を発表。2014年3月、2009年からテレビ情報誌「TV Bros.」で連載しているコラム「デッド・イン・ザ・ブックス」をまとめた単行本「少年ジャンク 志磨遼平コラム集2009-2014」発売。4月、キングレコード(EVIL LINE RECORDS)へ移籍。日比谷野音でのワンマン公演を成功させたのち、9月にリリースされた1st E.P.「Hippies E.P.」をもってバンド編成での活動終了を発表。以後、志磨遼平のソロプロジェクトとなる。12月10日、現体制になって初のアルバム『1』をリリース。2015年4月1日、ドレスコーズ初のLIVE DVD「“Don’t Trust Ryohei Shima” TOUR 〈完全版〉」をリリース。2015年10月21日、4thアルバム『オーディション』をリリース。2015年11月29日(日)福岡BEAT STATIONを皮切りに、大阪、仙台、札幌、名古屋、東京を巡る「Tour 2015 “Don’t Trust Ryohei Shima” JAPAN TOUR」を開催。
OKAMOTO’S
オカモトショウ(Vo)、オカモトコウキ(G)、ハマ・オカモト(B)、オカモトレイジ(Dr)。2010年5月にアルバム 『10′S』、11月に『オカモトズに夢中』、2011年9月に『欲望』を発売。2013年1月に4thアルバム『OKAMOTO’S』を発売し、7月に は両A面シングル“JOY JOY JOY/告白”を、11月6日にニューシングル“SEXY BODY”をリリース。2014年1月15日に岸田繁(くるり)を迎えた5th アルバム『Let It V』を、8月27日にはRIP SLYME、奥田民生、黒猫チェルシー、東京スカパラダイスオーケストラ、ROY(THE BAWDIES)らとコラボを果たした5.5 thアルバム『VXV』を発売。2015年9月30日、6th『OPERA』をリリース。11月1日 (日)東京・新宿LOFTより「OKAMOTO’S TOUR 2015-2016“LIVE WITH YOU”」をスタート。
撮影 中野修也/photo Shuya Nakano
文 三宅正一/text Shoichi Miyake(Q2)
編集 桑原亮子/edit Ryoko Kuwahara
撮影協力:LAX 東京都渋谷区円山町7-11 梅北ビル 2F tel 03-3462-2443