――アルバム中では、レイジくんがビートメイクした「アップサイドダウン」はミニマルなテクノやアシッドハウス、「楽しくやれるハズさ」はヒップホップの影響が前面に出ていますよね。
レイジ「2、3年くらい前には4つ打ちはダサいと思っていたんですけど、一度、自分達でやってみないとなんとも言えないと思って、2013年にシングル「JOY JOY JOY」をはじめ、何曲か作ってライヴで演奏しているうちにどんどんハマっていって。岡村靖幸さんのDJユニット、OL Killerのプレイを聴いたりしているうちに、ハウスやテクノに開眼したんです。そして、開眼したからには、超渋い打ち込みから始まるダンスチューンを作ったら格好いいんじゃないかと思って、「アップサイドダウン」でビートを組みました。あと、「楽しくやれるハズさ」のビートは、そもそも、OKAMOTO’S用に作ったわけじゃなく、個人的に作ったものを、音楽友達としてショウに聴かせたら、「いま自分が考えているアイデアと、このビートが合うかもしれないから、データで送って」と言われて。それでショウに送ったら、アルバムで完成された曲に近いものが返ってきたんです。だから、このアルバムに持ち込んだというより、ショウが取り入れてくれた感じです。あと、ちょっと話が変わるんですけど、今年の4月に六本木のEX THEATERでライヴをやった時、アンコールでRIP SLYMEとのコラボ曲「Wanna?」のオケを流して、その曲のラップを4人でやったら、思っていた以上に反応が良かったし、俺らとしても手応えがあったんです。その経験もバンドの殻をやぶるのにプラスに作用した気がしますね」
――そして、コウキくんが歌詞を書いて、初めてフルヴォーカルをとった「ハーフムーン」なんかは、ごりっとしたOKAMOTO’Sには珍しく浮遊感漂うダブ・ポップですよね。
コウキ「このアルバムで自分を含め、みんながそれぞれ書いた歌詞は、どうして「Dance With Me」に辿り着くのかを説明していて、どの楽曲も最終的には言っていることが一緒だったりするんですよ。歌詞に筋が通っているからこそ、サウンド面で好きなことがやれたんです」
ショウ「この曲はバンドに持ってきた時、すでにコウキが「これは俺が歌いたい」って書いてあったよね(笑)」
コウキ「そうだったっけ?」
レイジ「もともと「コウキが歌う曲があった方がいいよ」って、俺が言ってたから、たぶんその流れだよね?」
コウキ「そうそう」
――ハマくんがアレンジを手掛けた「うまくやれ」は、いなたいPファンク感が実にベーシストらしい曲ですよね。
ハマ「「うまくやれ」は、ここ最近、巷ではファンクをお洒落風にやるのが流行っているので、それだったらファンクが誕生した頃の生まれたてのファンク風にアレンジしたら、歌詞の世界と相まって、頭の悪い感じが出せるかなと思ったんです。でも、この曲は4人のセッションから作ったもので、実はこのアルバムだと一番普通というか、スムーズに出来上がったんです」
ショウ「そう。他の曲はかなり密に構成が決まっていたからね」
――最新作のダフト・パンクを思わせるディスコ・ファンクが色んなパターンでどんどん展開していく「TOMMY?」なんかは構成をきっちり決めた曲ですよね?
ショウ「そうです。きっちり決めておかないと、こういうあり得ない展開は続かない。あと、この曲もそうですが、DJでかけたり、ダンス・ミュージックとして楽しめるアルバムにしたいというのは、アルバムの裏コンセプトでした」
コウキ「ハマくんは結構早い段階から次はダンス・アルバムにしたいって話してたよね」
ハマ「OKAMOTO’Sは、8ビートの曲に、16ビートのニュアンスを織り込んだアレンジを施してライヴをやったりしていますが、作品ではそういう曲が無かったので、ファンクやディスコをやるということではなく、リズムの裏を意識したダンス・アルバムにしたいなと思っていました」