――KREVAさんとの“Too Many Girls”でもラップしてますしね。
tofubeats「でもラップに関しては『なんかすみません』って気持ちがあるんですよね。この曲みたいに面白半分じゃないとラップはできなくて、ラップは趣味程度でやるって決めているんです」
――でも、この曲のラップはオチもあるコミカルな内容で、そこに関しては“面白半分”とかじゃなくて、考え抜いて構成していると感じましたけど。もう思いっ切りカッコつけたラップをしてみるとか、そういう気持ちはないですか?
tofubeats「いやぁ……まあ恥ずかしいですからね。難しいですね」
――ラップすることに対してはどこかに照れがあるんですね。
tofubeats「月一とか二ヶ月に一回とか、ラップをやろうとするタイミングがあるんですよ。でも、『16小節も書けへんなぁー』みたいな感じになっちゃうんです」
――tofuくんがカッコイイと思うラッパーは誰ですか?
tofubeats「一回リリックでも言っていますけど、ECDとA.K.I.PRODUCTIONSがむちゃむちゃ好きなんです。ヒップホップという枠で言えば、ヤン富田さん、いとうせいこうさん、 DUB MASTER Xさんも超好きです。彼らから“ひっくり返すのがヒップホップ”ということを学んだんですよ。いまは技術的な意味で上手い下手かにこだわっているラッパーの人たちが多いじゃないですか。でも、そういうのはヒップホップの思想とは離れていると思うんです。僕の中でのヒップホップはひっくり返そうとしている気合があるかないかなんです。だから、テイ(・トウワ)さんとかパラ・ワンとかもめっちゃ好きですね」
――パラ・ワンとはele-kingで対談(http://www.ele-king.net/columns/004168/)してましたよね。
tofubeats「僕がファン過ぎて、『会わせてくれ!』って言って実現したんです。パラ・ワンも元々は、DJプレミアみたいなビートを作ってたんすよ。そこからテキとかと出会って、アブストラクトなビートを作り出して、いまみたいなクラブ・ミュージックをやっている。そういう流れにはかなり共感するところがありますね。テイさんもまさにそうじゃないですか。ヒップホップを作っていたらハウスに向かっていく、という体験が自分にもあるから共感できるんです」
――ラップのフロウやライミングの音的な気持ち良さってありますよね。その観点から気になる人、好きな人はいますか?
tofubeats「ラップのスタイルを発明しているっていう意味ではPUNPEEさんもそうだし、KOHHさんとかもそうじゃないですか。新しい日本語ラップを発明しようとする気概があるか/ないか、ということですよね。そういう人は好きですね」
――唐突ですけど、最近僕の中で熱いから訊きたいんですけど、TOKONA-Xのラップはどう思いますか?
tofubeats「めちゃ好きです。なぜか去年の末ぐらいは、TOKONA-Xの“Let me know ya…”(2003年)とミッドナイト・スターの“ I’m Curious”をミックスしてクラブでかけていましたね。マネージャーがCAMPANELLAさんやERAさん、WDsoundsやRC SLUMの人たちと仲良かったりするのもあって、そういう人たちの音楽もすごい好きですね。だから、いまは昔のようなヒップホップへのバイアスはあんまりないですね」