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OKAMOTO’Sのアドレス帳 Vol.8 Maa × オカモトレイジ

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——料理作りと音楽、通じるものはありますか?

レイジ「ありますね。ご飯作りと楽器のチューニングがすごく近いと思う。チューニングの“何だか上の方だけ強いな”、“真ん中がないな”と感じる感覚と、ご飯を食べていて“コレが足りない”、“この味がききすぎてる”って感覚は通じてる気がします。作業的には、バンドは煮込み系ですね。ワンマンバンドじゃないという意味でも、OKAMOTO’Sはより煮込みっぽい。挽肉がいて、豆腐がいて、出汁がいて。俺はバンドの貝柱になりたい(笑)」

 Maa「主役は豆腐だけど、貝柱はいいエキスになるからね(笑)」

レイジ「あと料理中にBGMとして音楽を聴いていると、新しい発見があったりします。普段音楽を聴く時は曲に集中しすぎちゃうから、BGMみたいな感じで聴くことって実はあまりないんですよね。換気扇の音でほとんど聴こえない環境で聴いていると、この曲こういう状態だったんだって思ったりする。料理を作りながら音楽を聴くことって俺にとっては新鮮というか、音楽好きじゃない人にとっての聴こえ方みたいな感覚は実感できるかもしれない」

——OKAMOTO’Sの料理担当として、プロの料理人さんに聞いてみたいことは?

レイジ「普通に料理を習いたいですね(笑)。シチューを作る手順を見てもらって、“それこっちじゃなくてこっち先にやった方がいいよ”と教えてもらったり。あと、作ってる所を見せてもらいたいです」

 Maa「私は逆に、レイジさんがどうやって作ってるのか知りたい。正しいやり方を知ってるから、余計にそういうところで新しい発見があるかもしれない。決められたやり方より、もしかしたらそっちの方がいいかもしれないし」

レイジ「音楽も料理も知っちゃうと、わからない時に戻れないじゃないですか。ただ音楽はウマいヘタとかじゃなくて、好きかどうかがキモ。料理にはヘタウマあるのかな。あと、もともと持ってる感覚とか」

 Maa「感覚はあると思う。普通は砂糖と塩を間違えないよね、みたいなことする人ってやっぱりいて。“こうやるんだよ“って教えると、“はーい!”って言いながら違うものを入れてたりする(笑)。だから、直らない人は直らない」

レイジ「根本的なところで興味がないのかもしれないですね」

 Maa「うん。本当にやりたいって思ってないのかもしれない。あと、無意識に子どもの頃から慣れ親しんだ味に近づけようとして、違う感覚を受け入れられないというのはよくあると思います。自分が食べるんだったらそれでもいいし、旦那さんのために作るなら愛を込めればそれで完成する。だけどお店だといろいろな方がいらっしゃるから、みんなが美味しいと思ってくれる料理を作らなきゃいけない。そこがすごく難しい」

レイジ「ポップスのグループだったらお客さんのことを気にして作る必要があるけれど、ロックだとそうじゃなかったりする。ロックっていう概念が入ってくると、“俺らはロックバンドだから”ということで何でもかんでもオッケーになっちゃうところがあると思っていて。ライヴでもバンドのことを愛してる人が観に来るから、俺らは俺らの味を提供するっていう感覚が大きい。だけど、ロックっていう概念では店はやれないですよね。自分がこういう味を作ってるんだから文句いわずに食え、とはならないだろうし」

 Maa「でも本当はそうなりたいですよね。私の料理を食べに来てくれたら嬉しい。今はクラフトビールとワインのお店をやっていて、それに合う料理を作ってるけど、料理を気に入ってくれた人がまた食べに来ようって思ってくれたらすごく嬉しい」

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