――スミレちゃんはバンドやってるんでしたっけ?
多屋「もともと、BLACK TULIPSっていうガールズ・バンドをやってて、今はTHE STOLEN KISSESっていうバンドで、まさに歌いながらベースを弾いてるんだけど、大変だから、早くギターに転身したいなって」
DIANA「えー、いいなー。私、周りが男ばっかりだから、ガールズバンドにはすごい憧れがある」
多屋「でも、女の子は気まぐれで面倒くさいよ(笑)。チアキちゃんって、もしかすると男の子っぽい音楽が好き?」
DIANA「そう。私、3年くらい前まで、男がヴォーカルの音楽しか全然聴いてなくて。子供の頃はお母さんがハードロック好きだったから、家のなかではずっとそういう音楽ばかりだったし、十代の頃はパンクやP.I.Lみたいなポスト・パンクだったり、一通り古いロックを聴いて。ドイツのインダストリアル・バンドの(アインシュテュルツェンデ・)ノイバウテンがすごい好きだったんだけど、『Hallber Mensch』っていうアルバム・タイトルをバンド名だと思ってた(笑)。ヴォーカルのブリクサがすごいタイプで『世の中にこんなカッコイイ人がいるんだ!』と思ったんだけど、音楽があまりに実験的すぎて理解出来なくて、何がカッコイイのかをがんばって知ろうと繰り返し聴いてた」
――音楽好きの通過儀礼というか。
多屋「こないだ友達とまさに同じ話をしてたんだけど、そのアーティストのことは好きなんだけど、音楽がすぐに理解出来なくて、修業のように繰り返し聴く時期ってあるよね」
DIANA「私にとっては、コートニー・ラヴのバンド、ホールがそうだった。中学生の時、カート・コバーンは好きだったから、その奥さんのコートニーも格好いいに違いないと思って聴いてたんだけど、全然ぐっとこなくて、その良さが分からない私がおかしいのかなって思ってた(笑)」
多屋「ジャケットは可愛いし、部屋に飾ったりするんだけど、音楽的には全然好きじゃないかもしれないっていうアルバムはこの世に沢山あって。そこで拒絶反応を起こして、音楽が好きじゃなくなっちゃったりするんだけど、そこで我慢して聴いていると、道が開けるっていう(笑)。だから、よく若い子にはそうアドバイスしたりするんだけど」
DIANA「ハマれる何かと出会ったら、バーンって突き抜けるんだけどね」
――一般的にレコード屋って、基本的に男の子が多いし、女の子が来ても、彼氏と一緒だったりすることが多いと思うんですよ。でも、お二人は独りでもレコード掘りに行くし、DJもやられているじゃないですか?
多屋「自分の中にはおっさんが住んでいるんですよ」
DIANA「えー、でも、すごい女の子じゃない?」
多屋「外側だけはね。まぁ、男の子といると楽なんだけど、中身は男だから、何かやろうとすると、彼氏的に女の子ばっかり集めちゃうのかもしれない」
――CHIAKIちゃんもDJでは男の子のようにディープな音楽をプレイしてますよね。
DIANA「私、DJするのが全然好きじゃないんですけど、呼んでもらえてうれしいからやってるだけなんですよ。それに私が好きな音楽をいいと思う人がクラブやファッション系のイベントには少ないんですよ。DJは本来その場にいる人が求める音楽に応えなきゃいけないじゃないですか? でも、私はそれに応えるより、自分の好きな音楽を爆音でかけることを優先させるから、さーっと人がいなくなることもよくあって。『あー、帰っちゃった。ごめんなさい』と思いながら、『私は自分がかけてる音楽が絶対いいと思っているから、それでいいよね』って(笑)」
――CHIAKIちゃんはトラックメイカーでもあるわけですけど、作ったり、プレイしているアンダーグラウンドなダンスミュージックは、しかるべき場所ではばっちりハマってると思いますけどね。
DIANA「でも、やっちゃうんですよ。私、自分で作った超へんちくりんなトラックを虎ノ門ヒルズのパーティで、人がいなくなった時を見計らって、ぱーんとかけちゃうんです(笑)。で、『ああ、こういう鳴り方をするのか。じゃあ、ここをもうちょっと作り直そう』とか、そうやってサウンド・チェックしたり」
多屋「私もDJの時、外国人のお客さんから『あれかけて』って言われて、ケンカしたり(笑)。もう次は呼んでもらえないかなって思ったりすることもたまにあるなー」
DIANA「でも、全然大丈夫。『プロのDJじゃねーし!』って感じだもん(笑)」