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藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」#18 グルテンフリー

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つい検証という固い言葉を使ってしまったが、これは眉間にシワを寄せよ、ということではない。食べ物にこだわる人の中には、食料品店で眉間に皺を寄せて哲学的な佇まいになっている人を見かけるが、食べることは、楽しみであり、闘いにしてはいけない。排除ではなく、選択とポジティブに捉えて楽しくやることがスタートラインに向かう状態として好ましい。
では、グルテンとは何か?そして体にどういう影響を及ぼすのか。
グルテンとは、小麦、大麦、ライ麦に含まれるたんぱく質成分のことで、糊状となりパンのもちもち感を生んでいる。ある意味、小麦製品の食感的な肝と言えるのだが、これが意外にも砂糖よりも血糖値を急に上げてしまう働きがある。さらに健康的だとされている全粒パンはスニッカーズバーよりも血糖値を上げてしまうというデータもある。この事実に至っては意外というよりも驚きだ。
血糖値が急上昇すると、それを調整するインシュリンが分泌される。詳しい説明は省くが、インシュリンの増減という不安定によって肥満や生活習慣病などは引き起こされる。血糖値の乱高下は、脳と心にも悪影響を及ぼし、気分が良くない、無気力といった状態を生む。できるなら血糖値は上げ下げさせずに、安定させておくのが良いとうことだ。
ジョコビッチの実家はピザ屋であり、彼はトマト、乳製品、小麦、これらで育ったのだ。
彼がグルテンフリーに切り替えるきっかけは、ある医師からのアドバイスによってだった。当時テニス界で二番手グループから上に行けずにもがいていた彼のゲームをたまたまテレビ観戦していた同郷セルビア人医師が、画面上でジョコビッチのプレーを観察して、ボールへの対応がわずかに遅れていることに気づいた。その原因はグルテンにあるとその医師は見抜き、ジョコビッチにコンタクトを取ったのが発端だった。
その医師の眼力もすごいが、医師の指示通りに二週間グルテン断ちに踏み切ったジョコビッチの思い切りの良さも凄い。見ず知らずの男が訪ねてきて、その指示に従えるだろうか?その辺りの事をも含めて才能というのなら、才能とはやはり冒険することに属している。
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